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フランツ・カフカ 審判


私が持っているこの本は古本屋で昭和44年発行の集英社世界文学全集の中の一冊、カフカ「審判・変身」というやつを見つけて100円で買ってきた物。タイトルの2つの作品以外に短編も多数収録されたお買い得本。ただし現在はこの会社からは発売されていない。私の読んだ訳(立川洋三訳)はこの本でしか読めないようだ。

 カフカは不条理・シュールレアリズムの作家として有名だが、だいぶ昔に「城」を読んだ覚えがあるくらいで、そのうち読んでみたいと思っていた作家である。
 手始めに「審判」を読んだ。う~ん。これは想像以上にヘンな小説である。ストーリーはある日訳もわからず逮捕され、裁判の被告にされた主人公Kが右往左往するというもの。なぜKが逮捕されたのかは読者はおろかKにすら説明されず、そもそも裁判が実際に進んでいるのかどうかすら怪しい。Kの周りには怪しげな男女が次々に登場してKはどんどん深みにはまっていく。

 これは作家の死後に友人が遺稿から発表したらしいのだが、これはずいぶん欠落(というか書かれていない部分)があるのではないだろうか。実際、弁護士をクビにしようとする章は尻切れトンボに終わり、「この章未完」と書いてある。最後の章もあまりに唐突で、前の章との間に何かエピソードがないのは不自然な気がする。というかこの最後の章はカフカの本当に書きたかった結末ではないような印象を受けた。まあ、こういう作品なのでストーリーは重要ではないのだが。

 この作品のキモは、その前の章で大聖堂での教誨師とKの問答である。教誨師は門に入りたかった男と門番の物語をKに物語り、その解釈について二人は議論するのだが、ここにこの作品を読むヒントが隠れている。すなわち強者(裁く者)と弱者(裁かれる者)の立場は見方を変えると力関係が逆に見える、ということである。…しかし終章を考えるとそれも詭弁に過ぎないのかもしれない。
 読後の後味の悪さは阿部公房の「第四間氷期」を思い出した。そういえば阿部公房の作品はカフカに酷似している。

☆1月15日追記 写真差し替えました
.13 2006 東欧・ロシア文学 comment4 trackback1

comment

先日、図書館に行ったとき借りようとしたんですけど、棚に戻してしまった。
岩波版でしたが。
「文学刑事サースデイ・ネクスト」に裁判のシーンがあって、それがカフカの審判をもじっているというので、以前から読みたいと思っていたのですが、カフカのほかの作品を読んでから読んだほうがよさそうですね。
2006.01.14 09:27 | URL | くろにゃんこ #Rr/PoIDc [edit]
良くも悪くもこれは未完の作品ですね。
カフカ自身は遺稿は処分してほしいと言い残して死んだそうですが、この作品は未完であること、作者がもっと長生きしたら別な展開があったかもしれないことを頭に入れて読まないといけない、そういう作品だと思いました。
2006.01.14 22:19 | URL | piaa #- [edit]
「審判」は難解ではないので、わりあいすんなり読めたんですが、すんなり読めたからといって、分かりやすいわけではありませんね。
カフカの世界を純粋に堪能する姿勢が必要な小説かもしれません。
2006.06.09 15:27 | URL | くろにゃんこ #Rr/PoIDc [edit]
カフカの描き出す不条理かつヘンな世界を堪能する事ができる怪作、と言ってもいいでしょうね。
あとは好みの問題ですね。
2006.06.09 23:14 | URL | piaa #- [edit]

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カフカを読むなら「審判」は外せないでしょう。と以前から思っていた私ですが、ことはそう簡単には済みません。何しろ「審判」は、著者に放り出された作品でありますから、やはり慎重にならざるおえない。カフカがどのような作家で、どのような作品を書いているのか、そこの

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