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バーナード・ベケット 創世の島


 バーナード・ベケットはニュージーランドのSF作家。本職は教師だそうだ。この作品については全く予備知識がなかったが、古本屋さんで見かけたのでちょっと読んでみた。

 近未来。主人公の少女アナクシマンドロス(アナックス)はアカデミーへ入るために試験を受けている。彼女に与えられたのは歴史的人物アダムの行動について語ることだった。
 この作品は、アナックスが受ける四時間にわたる面接試験だけで構成されている。この中で彼女は世界の歴史に重要な転機をもたらした青年アダムについて彼女自身の解釈を加えながら語っていく、というかなり独特な形を取っているわけで、作品は会話とアナックスの語るアダムの物語を中心に進んでいく。戯曲とかを読み慣れない読者は面食らうかもしれない。

 とにかくかなり緻密に練られた作品で、特に後半のアダムと人工知能アートとの論争が非常に面白い。ここで二人は意識や思考というものの有り様に対して議論する。哲学的な対話ではあるが何やら不穏な雰囲気をはらんだこの部分が作品のかなりの部分を占めており、プラトンやアリストテレスなど登場人物の多くにギリシャ哲学者の名前を使った意図もここらあたりにあるのだろう。
 その辺りからこの作品は一段とギアを入れて加速した感じで唐突で残酷なラストまで物語を引っ張っていく。ラスト前数ページに至って驚愕の事実が読者に明かされるのだが、後になって考えると最初からそれと意識して書かれていたことに気づいてその見事さに舌を巻いてしまう。
 物語の中盤でわざとヒントをふたつも置いているのもニクい。

 ただし欠点も多い。アダムに救われた「イブ」がどうなったのか、アダムの死のあと実際どうなったのかは作品の、というか試験の意図から外れるとはいえ全く語られないし、途中で出てくるもう一人の受験者ソックはやはりアナックスと同じようになったのか? アカデミー受験者が行方不明になることをアナックスは(噂のレベルでも)知らなかったのか。またそのことをアカデミーはどう説明しているのか。などの疑問が浮かぶ。
 それと作者の意図どおりのミスリードを誘う装丁のイラストはちょっと卑怯だ。

 というわけでかなり面白かったが、この本正価では1470円。内容・物量を鑑みてもそりゃ高いわ。半額なら買ってもいいね。いや半額くらいで買ったんだけどさ。
.11 2013 SF comment0 trackback(-)

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