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横溝正史 八つ墓村


 先日の山口県周南市での五人殺しのニュースを見て、横溝正史の小説みたいと思った人は多かったと思う。それで「犬神家」を読んだのだが、やっぱりだれもが「犬神家」じゃなくてこの作品を連想したと思うのだ。
 それで、読んでみたんだけど、これって昔読んだと思ってたんだけど読んでないような気もする。渥美清が金田一を演じた映画は観たので、そっちの覚えがあったのかな。

 これは非常に巧みに書かれた見事な作品だ。この作品は事件の中心人物、辰弥が事件の後に記した手記の体裁をとる一人称で書かれている。このため金田一耕助がこの事件の捜査でどんな事をしていたのか、というよりもそもそも彼はなぜ八つ墓村に居るのかすらわからない。この作品においては金田一は全くの脇役で、事件の推移にほとんど影響しない。
 取り立てて大きなトリックはないのだが、単純な動機から犯罪計画を綿密に練り実行する犯人のありかたの造形が見事。ただ犯人はどこから毒を手に入れたのかがわからずじまいだったような。

 小説の構造が見事だ。双子の老婆をはじめとして様々な登場人物を一対にして配置して、その片方が次々に死んでいくというアイディア。落ち武者の惨劇、25年前の32人殺しの惨劇(これが有名な津山事件をモデルにしている)と絡んで村を覆う『呪い』のイメージ。田治見の屋敷から村の各地に繋がる鍾乳洞と道具立てもうまいし、登場人物もそれぞれ個性的なので、相当登場人物が多い小説だが混乱することがないのもさすがだ。

 32人殺しなどからおどろおどろしいイメージが先行するが、実際の作品は思ったよりも明るいトーンで、決してホラー的な怖い作品というわけではない。よっぽど「ソラリス」のほうが怖い。野村芳太郎監督の映画がどちらかと言うとホラーっぽい作りだったのでその印象が強いのかな。

 横溝正史って、心理描写も極めて巧みだし、土地の土着的な因襲に囚われた人々の描写など圧巻である。ミステリとかホラーとかは抜きにして、実はとても巧みな小説家だと思う。純文学ファンにもぜひ読んでもらいたいと思う。
.28 2013 ミステリ comment0 trackback(-)

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