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山尾悠子 夢の遠近法


 昨年読んだ「ラピスラズリ」で私の度肝を抜いた山尾悠子の、初期の短編からセレクションした作品集。1890円と、国書刊行会の刊行物としては珍しほどリーズナブルな価格で発売されている。

 この作家の作品の最大の特徴はその極めて濃密な文章だ。同じ日本語の、誰もが使う単語を使い、なにかこう特殊な言い回しや表現を使っているわけでもないのに、どうしてこんなに濃密な文章が書けるのだろう。それが不思議で仕方がない。どの作品も作品中に時間が淀んでいるかのようで、迂闊に読み始めると作品中の独自の時間にはじき出されてしまう。しかし、一度作品世界の中に入り込むと、そこは言葉で構築された迷宮。読者はその迷宮のなかを思う存分彷徨う権利を得る事ができる。

 この作家の出世作である「夢の棲む街」は、迷宮のような都市に住む「夢喰い虫のバク」を主人公にしてひたすらこの不思議な街の不思議な出来事を書き連ねていく。薔薇色の足の踊り子たちや時間が緩慢に流れる中で死にゆく「禁断の部屋」の女…そして最後にいきなり訪れる破滅。正直小説として筋の通ったものではないが、そこには異常な世界が異常なテンションで描写されていて圧巻である。
 「月齢」もすごい。滅びの後の大地を旅する男の、旅の中で起こった小さな事件を描いた非常に短い作品だが、その強烈なイメージに打ちのめされる。

 そのほかにも、ファンタジー作品「ムーンゲイト」、この作家としては珍しく現代の京都を舞台に、男子大学生を主人公に据えた「月蝕」など、この作家としては至極まともな内容を持つ「月」と関係のあるタイトルの作品が印象に残ったが、一方で「童話・支那風小夜曲集」「眠れる美女」とような、「ショートショート」といってもよさそうな長さの作品の切れ味も見事としか言いようがない。
 ただし傑作とされる「遠近法」は文章と描写力はすごいのだが、いかんせんここで描かれた世界そのものがあまりにも異常なのでいまひとつ入り込めなかった。

 いやこれはすごい。まあちょっと重い読み物であることは間違いないし、うまく作品世界に入り込めないと弾き飛ばされてしまうが、それだけに一度ツボにはまるとこの世界にハマり込んでしまう。
 ああもっと読みたいな。全く廃刊の作品も多いらしい。中古はかなりの高額になっている。安価で復刊してくれないかな。
.11 2013 日本文学 comment0 trackback(-)

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