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ニーベルンゲン

nibelungen_movie.jpg
Die Nibelungen 1924年 独
監督:フリッツ・ラング
出演:マーガレッテ・シェーン、パウル・リヒター

 WOWOWでサイレント映画特集として放送された、ドイツの映画監督フリッツ・ラングの、有名な「メトロポリス」に先立つ作品。タイトル通り、ドイツの伝承文学である「ニーベルンゲンの歌」に基づく作品で、前後編に分かれ、トータルでの上映時間は5時間近いという大作だ。

ワーグナーの四夜にわたる巨大な楽劇「ニーベルングの指環」の元ネタがこの「ニーベルンゲンの歌」なのだが、ワーグナーの作品はジークフリートとブリュンヒルデを物語の中心に据え、全体では神々と人間や小人族といった部族の権力争いの物語という要素が強い。これは「ニーベルンゲンの歌」という物語に北欧神話の神々を加えてさらに神話的なものに仕立てたものだ。「ニーベルンゲンの歌」の方には神話的な要素は(ワーグナーに比べると)少なく、物語の中心もクリームヒルト(ワーグナーでは「神々の黄昏」でのグートルーネ)に置かれている。
 なにしろジークフリートの死までが前編で終わってしまう。要するに「ニーベルングの指環」で描かれた部分は前編で終わりなのだ。後編は夫ジークフリートを失ったクリームヒルトが、夫殺しの下手人であるハーゲンと、殺害を容認した兄グンターに対する復讐を果たそうとする物語になる。

 さてそんな物語を完全映画化したこの作品は、公開が1924年だからざっと90年前という大変古い映画だ。もちろんサイレント映画で、今回は澤登翠氏の活弁が入るバージョンでの放送だった。まず映像の鮮明さに度肝を抜かれる。
nibelungen_movie1.jpg

 上写真のような全体に黄ばんだモノクロ映像だが、かなり解像度の高い映像で90年前の人々が画面で躍動する、ただそれだけでも感動してしまう。相当入念に復元作業が行われているらしくフィルムの傷などもさほど気にならない。90年前ということで撮影機材なども今からすれば相当貧弱だったはずで制約が多かったのだろう、もちろんこんな時代にズームレンズなんてものはないし、カメラが移動することはおろか、パンする事さえ全くない。要するにこの作品、カメラは常にフィックス(固定)で、カメラワークの演出的にはロングになったりアップになったりといった違うカメラ割りの映像を繋いで見せるだけ。それでこれだけ求心力の強い映像を見せてしまうのだから凄い。ただいくつかのシーンで、肝心の人物にフォーカスが合っていないというような小さなミスもあるがこれは致し方なしか。
 また、上写真のシーンはジークフリートの竜退治のシーンなのだが、この竜がまた極めて精巧にできていて驚かされる。前足とかいかにも取ってつけたようではあるが、首や口の動きなどなかなかリアルだ。顔があんまり凶悪に見えないのが残念。後編での大広間焼き討ちのシーンなどは迫力満点。というか相当怪我人やあるいは死者が出たのではないのだろうか。人を引きずられたまま全力疾走する馬とか、人が倒れている上に燃えている梁のようなものが落ちてくるシーンとか、よく見るとかなりやばいシーンが… 

 はじめはただのかわいいお姫様だったが愛するジークフリートを殺され、復讐の鬼と化して、復讐の手段として蛮族の王アッティラ(なぜか彼だけは歴史上の実在の人物だ)の妃になり、兄までも手に掛けてしまうクリームヒルトをマーガレッテ・シェーンが熱演。とは言っても時代が時代なのでかなり抑制の効いた演技だし、メイクなどもかなり大時代的なものだ。
 ストーリー的にもかなり強引で、例えば前編で、ブルンヒルトがジークフリートを愛していたのかどうかもよくわからない。愛していなくても自分を愚弄したジークフリートに殺意を抱いてもなんの不思議もないのだが、愛していなければ後追い自殺する必要はないわけだ。
 前編ではブルグントと呼ばれていたグンターの国は、なぜか後編ではニーベルンゲンと呼ばれるようになる。もともとはニーベルンゲンはジークフリートが征服した地下の小人の国で、ジークフリートがそこの財宝を持っていただけだ。
 そんな細かいことよりも、なぜグンター(とその弟たち)は頑なにハーゲンを守ろうとするのか、全く理解できない。「ブルンヒルトの名誉を守るため」という理由があったのでジークフリートを殺してしまわなければならなかった事は不問に付すとしても、ジークフリートの遺産であるクリームヒルトの財宝を奪い、アッティラの幼い息子を殺害した、そのどちらかだけでも十分に死に値するだろう。最後クリームヒルトは「無抵抗」のハーゲンを殺して即座に討たれたが、アッティラの息子は「無抵抗」どころか幼児だったのに。

 とにかくこれは当時としてはとんでもない作品だっただろう。出てくるエキストラや馬の数は「ロード・オブ・ザ・リング」などよりもはるかに多い。当時劇場で観た人は度肝を抜かれただろう。どれだけ手間暇とお金をかけて作られたか想像を絶する。澤登翠氏の活弁は見事だが、逆に普通にシナリオを作って声優さんに吹替させても面白いかも。あと音楽のみヴァージョンもあるようでそっちも見てみたい。というわけで、前後編で5時間、堪能しました。

 あと「ニーベルングの指環」観たくなった。
.07 2013 映画(欧州・アジア) comment0 trackback(-)

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