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マーク・トウェイン 不思議な少年


 アメリカを代表する作家の一人、マーク・トウェインの遺作。
マーク・トウェインといえば「トム・ソーヤーの冒険」などアメリカらしい楽天的な作風の作家という印象があるが、そういうイメージでこの本に入ると、かなりペシミスティックな内容で面食らうかもしれない。

 オーストリアの田舎村エーゼルドルフに住む少年テオドールの前に、サタンと名乗る美少年が現れた。堕天使であるサタンは超越的な存在であり、奇跡を起こしてみせたり、人間たちの運命を自由自在に操ることもできるのだった…

 まあ要するにサタンくんは、人間なんて小さいもので神の視点からするとゴミみたいなもので、善行を行おうが悪行を積もうがたいして違いはないし、苦しい一生を長生きするよりも、いっそ一思いに早死にしたほうが幸福かもしれん、生きて幸福でいられるためには、正気を失うしかない。…とまあこういうことをあっけらかんと、テオドールの友人ニコラウスの悲惨な運命などの実例を見せつけながら語る。この本の紹介文には「暗い人間不信とペシミズムに彩られ」た作品だと書いてある。それはまあ確かにそうなんだけど、サタンくんの語り口があまりにもさわやかなので、すごく鬱展開な物語なのに読んでてあまり嫌な感じがしない。これを一種の哲学小説と捉えて、人間のありようなど考えてみるのも良いかも。

 で、ラストがまさかの夢オチ。というか人生はおろかこの世のすべてが夢というわけだ。まあ誰でもそんなことを一度くらいは思ったことあるだろうから、別に衝撃的でもなんでもないけど、虚無的な世界観ではある。
 そういう普段とは違う目で人生を、世界を考えてみなよという、作者のそんなメッセージのこもった作品…だと思ったんだけど、実はこれ作者の死後発見された未完成の草稿を、管財人のペイン氏が適当につぎはぎした、いわば改竄版なのだそうだ。そうなると作者自身の作品に込めたメッセージなどほんとうにあるの?ということになってしまう。

 でもそれでもこの作品の価値は変わらない。ちなみにトウェインはこの作品の草稿を三種類残していて、ふたつは途中までで中断した未完成のもの。
このペイン版は途中で途切れた第1草稿に第3草稿の結末をくっつけたものらしい。第1草稿は上に述べたように興味深い内容だが、結果的に作家が捨ててしまったものなのだ。それに言われてみれば最終章はちょっと唐突な気もする。
 作者自身の結末も書かれた(でも未完成の)草稿(第3稿)は「不思議な少年第44号」として出版されている。ただこれはやはり未完成の草稿にすぎず、こちらのペイン版のほうがはるかにいい出来なのだそうだ。そもそもペイン版がなければ「44号」も出版さなかったんだろうし…そう考えると、独自編集ながらこの作品を世に問うたペイン氏の功績は大きい。
.18 2013 北米文学 comment0 trackback(-)

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