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金田一蓮十郎 ライアー☓ライアー


 金田一蓮十郎というヘンな漫画家がいる。「アストロベリー」というかなりぶっ飛んだSFラブコメ(?)みたいな作品からアニメ化された「ハレグウ」や「ニコイチ」といったわりと普通のストーリー漫画まで様々な作品を、非常にかわいい絵柄で描く作家なのだが、その金田一蓮十郎が本格的な「少女漫画」に取り組んだのがこの作品。

 断っておくがこの作品、ちょうど13日に第4巻が発売されたようだが、まだ読んでいない。この稿は第3巻までを読んでのレヴューであり、第4巻の展開によっては私の述べている内容から大きく逸脱するかも知れない。

 20歳の女子大生、湊はある日ちょっとした遊び心から友人の高校時代の制服を着てギャルメイクで街に出る。ところがそこで義弟(母の再婚相手の連れ子)透とばったり出会う。透はイケメンでモテモテ、女友達を取っ替え引っ替えしていて、潔癖症で奥手の湊とはほとんど口も聞かない状態だった。ところが透は女子高生姿の湊に一目惚れ。この際透の女関係を整理させようと考えた湊は女子高生「みな」になりすまして透と付き合うことにするが…

 上のストーリーからも分かる通り、かなり無理のある設定なのだが、湊が嘘に嘘を重ねていかざるを得なくなる状況をうまく演出して面白い。なによりもこの作品は漫画では珍しく、ほぼ完全に湊の一人称で描かれているという点が興味深い。
 小説では一人称で書かれたものは結構多い。たとえばレイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウシリーズはすべてマーロウの一人称で書かれていて、マーロウの知り得ないことは一切書かれない。ところが映画とかマンガではなかなかそういうわけに行かない。小説なら主人公の目で物語を見ることが可能だが、映像では主人公を第三者的に見せざるをえないのでどうしても人称の描写が甘くなるのだ。
 ところがこの作品では、徹底して湊サイドからだけ物語を描いていくことで、透の心情が直接描かれることがない。だから読者も、透が「みな」が湊と同一人物と気づいているのか、全く気づいていないのか、それとも多少疑念を持っているのか全くわからない。わからないので読者もずっと緊張感を持ってこの物語を読み続けることになる。
 ただし、第3巻で数ページだけ、湊に好意を寄せる烏丸に一人称が移動してしまった。これは烏丸の気持ちを読者が知る必要があったためだとはおもうが、そこまで完璧に湊の一人称マンガだっただけに少し残念。

 第2巻で、二役を演じる湊が一瞬混乱をきたすシーンがある。「本来の湊」がいつの間にか架空の人物であったはずの「みな」に近づいている事を示すシーンなのだが、逆に湊は「湊という自分」を演じてもいるわけだ。実は誰でも湊のように「自分を演じている」のかもしれない。
 そう考えて読むと、なかなか深いマンガだこれは。
.14 2013 コミック comment0 trackback(-)

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