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宇宙飛行士の医者


Бумажный солдат 2008年 露
監督:アレクセイ・ゲルマン・ジュニア
出演:メラーブ・ニニッゼ、チュルパン・ハマートヴァ、アナスタシア・シェベレワ

 旧ソビエトのボストークによる、人類初の宇宙飛行。これはそれのプロジェクトを、宇宙飛行士の健康管理と選抜のために関わった医者ダニエルの視点から描いた作品である。

 …と言うと『ロシア版「ライト・スタッフ」』的なものを想像してしまいそうだが、ここで描かれている宇宙飛行士たちはあのユーリ(もちろんユーリ・ガガーリンだ)を含めて宇宙飛行士としての任務に恐怖を覚えながらも自分の義務として職務を全うしようとしているだけの軍人にすぎず、全く英雄としては描かれていないのだ。その彼らと接してダニエルは罪悪感に苛まれる。その様子をロシア映画ならではの暗い映像で追った異色作。
 ダニエルが常に「指が焦げ臭い」と気にしていたり、妻のニーナが突然喉の不調を訴えたりとか登場人物が健康に問題を抱えているのは、ひょっとしてボストークの燃料であるヒドラジンの中毒症状なのだろうか。画面の端々でロケット打ち上げという最先端の現場でありながら雑然として不潔極まりない様子が描かれるが、これが当時のソビエトの現実だったのだろうか。そして国家を挙げて犠牲を強要する恐ろしさを静かに訴える問題作…なのだが…

 ところがその肝心の映像がすべてどこかで観たようなものなのだ。そう、この映画の映像はは何から何までタルコフスキーっぽい。クローズアップでメインの人物を捉えたままカメラを動かさずもう一人の人物をフレームからアウトさせたりインさせたりすることで意外な効果を狙ったり、背景をできるだけ限定して写しこむことで観客のイマジネーションを刺激するなどの映像の方法は、これはタルコフスキーの常套手段だ。火や水を効果的に使った演出もそうだ。タルコフスキーの映画で見かけたものとよく似たいくつかのカットもあるし、さらには観ているうちに眠気を誘われるところまでタルコフスキーそっくり。
 考え過ぎかもしれないが、こんな作品を見せられたら、一般的な映画ファンは『ロシア映画はすべてタルコフスキーのコピー』というような誤った印象を持てしまわないだろうか。そこが非常に気になったので映画全体としての評価は低くせざるを得ないのが非常に残念。

 暗い話を暗いままで描いてしまうのもじつはロシア人らしくない気がする。「宇宙飛行士オモン・ラー」くらいのギミックとアイロニーが感じられたら良かったんだけど。
.19 2013 映画(欧州・アジア) comment0 trackback(-)

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