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ミカ・ワルタリ ミイラ医師シヌヘ


 古本屋さんで見かけて、古代エジプトを舞台にした作品ということで気になったのでつい買ってしまった。
 これは、私は寡聞にして全く知らなかったが、その昔ハリウッドで映画化されたこともあるフィンランドの作家ミカ・ワルタリによる当時のベストセラー大河小説「エジプト人」の抄訳版なのだそうだ。
 これは以前平凡社の全集物の一冊として出て、その後角川文庫で発売されたそうだ。文庫版で3冊の大著らしいが、この版ではおそらく1/3以下の分量に刈りこんであるようだ。オリジナルは現在廃刊で入手困難。AMAZONを見たら文庫の第1巻の古書が恐ろしい高額で販売されていた。

 抄訳ということでちょっとテンションが下がりながらも読んでみると、コレがめちゃくちゃに面白い。町医者の父親の家庭で育った少年シヌヘは、成長してミイラ医師(ミイラを作る人)になる。師とともにファラオを診察する名誉を授かるが、ファラオが崩御して殉死を強いられるが、殉死を免れたシヌへは医師として大変な名声と富を得る。しかしある日出会った美女ネフェルネフェルネフェルゥに騙され家も富も名誉もすべてを失う。両親はこれを恥じて自害、シヌへはせめてものつぐないに両親を立派なミイラにして葬り、奴隷のカプタだけを連れてエジプトを離れる。彼はバビロニア、シリア、クレタ島を彷徨う事になるが、行く先々で事件に巻き込まれていく、といったストーリー。

 我々の知っているキリスト教や仏教や、あるいはイスラム教といった宗教とは全く違う古代エジプトの宗教を信仰する人々が主人公のこの作品は、それだけでもなんとも不思議な手触りなのだが、そんな古代宗教の世界がすでに腐敗して形骸化しているところまで描かれているのがまず面白い。シヌへが殉死を免れたいきさつ(形だけの処刑をしてその後別人として同じポストに就く)とか、若い女性の遺体がミイラ化されるために運び込まれると『死者の家』のスタッフが喜ぶおぞましい理由とかがいともあっさり描いてある。

 エジプトを出たあとの、諸国漫遊も3400年前の社会情勢も加味して背景がかなりリアルで、その上に相当荒唐無稽なストーリーが乗っかっていて非常に面白く、あっという間に読んでしまう。ただ抄訳版の悲しさか、どのエピソードもあまりにも軽いノリで終わってしまった感がある。普通の読者ならこの抄訳版でも満足できると思うが、私みたいなスレた本読みには、長いオリジナル版があると知ってしまうとやっぱり物足らなく思える。
 ここではカットされたエピソードもいくつかあるようだし、これはぜひオリジナル版を読みたい。どっかで安く売ってないかな。

注:アフリカの一部である古代エジプトが舞台の物語ですが、フィンランド人作家がフィンランド語で書いた作品であることから、この作品については「その他欧州文学」にカテゴライズしました。
.21 2012 その他欧州文学 comment0 trackback(-)

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