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アルマ・マーラー マーラー・愛と苦悩の回想


 作曲家グスタフ・マーラーの夫人アルマがマーラーとの出会いから死別までの波乱の10年間を赤裸々に描いた回想録。昨年が没後100年だったマーラーの映画を先日二本観てこの本の存在を思い出したのだが、どこにあるかわからずにいた。先日本棚の奥から偶然発掘したので読んでみた。

 アルマの回想録という形を取ってはいるが、彼女自身きっちり日記をつけていたとかそういうわけではないらしく、細かい点で、演奏された演目や日付とかが実際のものと食い違っているらしく、そういう意味での資料的な価値は低いのだろうし、アルマ自身が好意的に思っている人とそうでない人について書く時の態度が全く違うので、ここに書かれている内容自体かなりアルマ自身による脚色が含まれているのではないかと思われる。
 だからこれは実際にアルマがマーラーとの暮らしの中で体験したことを元にした小説と考えたほうがよさそうである。

 一番そばにいた夫人による回想録なのでマーラーという人の実像に迫るには最適の一冊で、小説を読む感覚でスラスラ読めるという点でも非常にすぐれたマーラー本といえるだろう。ただ小説としてみれば長女のマリア・アンナの死のくだりとマーラーの死のくだりはさすがにアルマ自身が回想するにもあまりにも辛かったのだろう、かなりあっさりした書き方で済ましてあるし、マーラーといろんな人達の議論のシーンでももっと詳しく書いてくれたら読み物として数段面白いものになったと思うのだが、そこまで要求するのは酷かとも思う。
 一方交響曲の構想、第2や第3の表題などは本来アルマしか知らなかったことで、本書に書かれたおかげで今ではどんなCDの解説にも載っている。そういう資料的な価値はある。

 ただ原文でもそうなのか、それとも翻訳のせいなのかわからないが、文章はあまりこなれたものではない。二人称が誰のことを指しているのかよくわからなくなるところが多数あり、記述も断片的で物足らない部分もある。芸術家たちを始めとして様々な人物が登場してくるが、歯に衣着せぬ物言いでぶった切られる人も多数。たとえばリヒァルト・シュトラウスは俗物だがなんだか愛すべき人物として描かれているが、その夫人パウリーネは全く度し難い人物として描かれている。まあパウリーネの場合もともと悪妻として有名なのだが…
 今なら間違いなく名誉毀損で訴訟問題になりそうなものもある。だからアルマ本人は自分が生きている間に出版するつもりはなかったのだが、戦争のどさくさで出版されても訴訟にはならなかったようだ。

 巻末に書簡集が収められており、これも非常に興味深い。こちらは資料的な価値大。この作品は中公文庫から文庫化されているが、文庫版にはこの書簡集は収められていないらしいので要注意だ。
.09 2012 その他の本・非文学 comment0 trackback(-)

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