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ウオーカー・ハミルトン すべての小さきもののために


 わずか35歳で亡くなった英国の作家ウオーカー・ハミルトンの、たった二冊しか残されていない作品のうちの一冊。
古本屋さんで見つけてなんとなく買ってみた。字の大きな単行本で160ページの非常に短い作品だ。

 知的障害者であるボビーは31歳だが純粋無垢な少年の心を持っていた。母がデパートを経営して裕福だったので幸福な人生を送っていたが、母が再婚して粗暴な義父が現れると、ボビーの生活は一変する。母の死後義父に虐待を受けたボビーは家を飛び出して、コーンウォールの森に住む老人サマーズさんと一緒に住むようになる。彼の仕事は死んだ動物や虫たちの死体を埋めてやることだった・・・

 この作品って、一見障害者が虐待を受ける事が寓話的に書かれた作品に見えるんだけど、実はそんな単純なものではない。これは普通の生活に適応できない人々が新しい居場所を見つけようと模索する物語で、それはずばりヒッピー・ムーブメントのことを書いた作品なのだ。ボビーが普通の暮らしに適合できないのは障害のせいだが、それは一種の比喩で、ボビーはもっと自由で束縛されない社会を求めたヒッピーたちのカリカチュアなのだ。
 時代背景を考えてみよう。これが発表されたのが1968年。ブローティガンの「アメリカの鱒釣り」が1967年だからほぼ同じ時代だ。
 そう思って読むと、一見詩的で美しい物語にも見えるこの作品が全然違って見えてくる。ボビーを弾圧する義父はヒッピーを快く思わない世間の大人たちの象徴であり、その義父を正当防衛とはいえ結果的に殺害し、遺体をも遺棄してしまうのだからとても過激な内容だとも言える。それともこの作品は一部の団体が、平和的なはずのヒッピーを通り越してカルト化してしまうのを予見しているとでも言うのだろうか。
 いやそもそも彼らを知的障害者に喩えた時点で、作者がヒッピー・ムーヴメントに対して肯定的だったとは考えられないのではないか。

 全く争いというものが存在しないブローティガンの作品の方がヒッピー・ムーヴメントの時代を代表する作品となったのは当然なのかも知れない。彼らの合言葉は「Love&Peace」なのだ。サマーズさんのような解決法を、少なくともブローティガンの主人公たちは選ばない。
.23 2012 英文学 comment0 trackback(-)

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