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アナトール・フランス 舞姫タイス


 マスネのオペラ「タイス」の原作として有名な、アナトール・フランスの代表作。
…と書いておきながら、確かにこの作品はオペラのおかげもあってアナトール・フランスの作品の中では最も有名な作品であることは間違いないだろう。しかし、はたしてこれは「代表作」なのだろうかと正直疑問に思わずにはおれない。

 オペラとの異動は、主人公の僧侶パフニュス(オペラではナタニエル)の名前くらいで、物語の大筋は変わらないが、小説ではタイスが小さい頃洗礼を受けていたことや、後に殉教者となる信者に可愛がられていたことなどが語られ、もともと彼女が神を求め、信仰生活に入る素地を持っていたことがわかる。一方のパフニュスがタイスを信仰に引きこもうとする動機は非常に曖昧で、パフニュス自身はっきりした理由を初めから持っていないのだ。タイスは神を信じたい気持ちが最初からあったので、パフニュスの誘いを簡単に受け入れ出家することに同意する。

 「饗宴」の章で、パフニュスはタイスとともにアレキサンドリアの賢人たちが集う饗宴に参加する。賢人たちの吐くセリフはパフニュスにとっては神への冒涜である。激怒するパフニュスはタイスの私物を全て焼き払い、砂漠へと逃れる。作品としてはここで突然戯曲調になるのが非常に面白いのだが、この「饗宴」の章の内容そのものは抽象的な議論に終始して恐ろしく読みにくい。マスネのオペラでもばっさりカットされた部分だ。

 そして終章では、タイスを修道院に預け砂漠に戻ったパフニュスの苦悩と道行きが描かれる。タイスの幻影に脅かされ心の平安を失った彼は廃墟の柱の上に住んで聖者として祭り上げられ、やがて彼の柱を巡礼者が訪れるようになり、さらにその周りに集落ができるなど物語は一大ホラ話の様相さえ見せ始める。そしてついに、タイスが死に瀕していることを聞き及んだパフニュスは、自分のタイスへの愛が神の恩寵などではなく肉の歓びを伴うただの世俗的な愛だったことにようやく気づく。

 要するにこの作品は聖と俗の逆転を鮮やかな対比で見せた作品なのだが、キリスト教というものに対する強烈な批判も含んでいる。そのへんが無神論者の我々日本人には正直ピンとこないかもしれない。とにかくこのアナトール・フランスという作家、やはり強烈な皮肉屋だったのだろう。そこが面白い作家だが、この作品ではその皮肉の面白みが今ひとつ伝わって来なかった恨みが残った。
.22 2012 フランス文学 comment0 trackback(-)

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