スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)

金聖響・玉木正之 マーラーの交響曲


 指揮者の金聖響がマーラーの交響曲について語った新書。単なる楽曲解説の本ではなく、それぞれの作品についてのエッセイに近い感触で書かれていて、そういう点では以前紹介した柴田南雄氏の「グスタフ・マーラー・現代音楽への道」と似た手触りの一冊だが、やや書いてある内容が古臭かった柴田氏の本に比べるとこちらはぐっと現代的だ。

 現役の指揮者がマーラーの作品について色々と語っていて非常に興味深い。たとえば第1交響曲の冒頭について、これが初演当時いかに度外れた音楽だったかを語っている。現代の我々の耳には特別斬新には聴こえないが、なるほど考えてみればこの作品の初演当時ってブラームスとかがもてはやされ、ブルックナーが前衛だった頃なのだ。第1交響曲の冒頭のあの混沌とした響きや、やがて鳥のさえずりとともに森の奥から響いてくる連綿と歌われる第一主題など、当時の聴衆は度肝を抜かれたのだろう。そういう事に、30年も前から聴いている曲なのに、この本を読むまで気づかなかった。

 第4番が全編これパロディであるという解釈なども面白いし、第6交響曲の楽章の並びの話なども興味深い。これは通常スケルツオ→アンダンテの順で演奏され、我が家にあるCDやレコードはどれもこの並びなのだが、アバド指揮のものはアンダンテ→スケルツオになっている。これはマーラー自身がこの順番で演奏したという最近の研究結果からそうなったらしいのだが、聴いてみるとなんだか座りが悪い。金氏自身昨年この並びで演奏してみてやはり座りが悪いと感じたらしく、そのへんも演奏者ならではの視点で語られている。
 マーラーの交響曲は全11曲でひとつの作品、という主張も非常に納得の行くもので、私もずっと前からそう思っていましたハイ。

 これはこういう本としては珍しくとても楽しく読めて、マーラーの全交響曲を聴き直してみたくなる一冊だ。共著の玉木氏はあまり登場しないが、スポーツライターでもある玉木氏の視点が、音楽家目線になりがちなこの手の本にアクセントとして効いている。金氏の文章も平明でくだけたわかりやすいもので、これからマーラーを聴こうかなという人にも好適の一冊。ただできればマーラーの場合、交響曲を語ろうとすると交響曲と密接な関係のある歌曲を無視できなくなるので、歌曲についても一章設けて欲しかった気もする。

 ちなみに私は第10番の補筆完成版は昔聴いた時にスケルツオのオーケストレーションがすごく雑な感じを受けた覚えがあって、今ひとつピンとこないでいる。また聴いてみないといかんだろうか。
.12 2012 その他の本・非文学 comment0 trackback(-)

comment

post comment

  • URL
  • comment

  • password
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

piaa

  • Author:piaa
  • Livedoorへ移転しましたので、そちらでお願いします。

    こちらのブログへのコメントはLivedoorに転載しますが、定期的にチェックしないので相当遅くなることもあります。

ブログナビ

P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ --年--月
  ├ カテゴリー
  |  └ スポンサー広告
  └ スポンサーサイト
P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ 2012年04月
  ├ カテゴリー
  |  └ その他の本・非文学
  └ 金聖響・玉木正之 マーラーの交響曲

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

月別アーカイブ

カウンター

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。