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テオドール・シュトルム 聖ユルゲンにて/後見人カルステン


 シュトルムの、わりと晩年の作品を三作収めた作品集。先日の記事でも書いたように近くの書店になくて結局ネットで買った。

 シュトルムといえば「みずうみ」が圧倒的に有名で、抒情的でロマンティックな作風の作家と思われているようだ。しかしその「みずうみ」、よく読むと友人がコウノトリを追い払うとか、ヒロインでない少女に「ある名」で呼びかけるとか、かなり曖昧な部分がある。そのあたりが謎めいた雰囲気を醸し出していて、この作品の魅力のひとつと考える人もいるのだが、その曖昧さはやはり作品としては欠点と言ってもいいのではないだろうか。

 で、ここに収められた三篇だが、これはいずれもそういう曖昧さとは無縁な、現実を直視するリアリズムが表に出て、北ドイツ人らしい厳しさをも感じさせる作品である。
冒頭の「聖ユルゲンにて」は、筋立てとしては若き日の実らなかった恋の回想とその顛末を描いたもので、そういう意味では「みずうみ」のヴァリエーションといってもいいものなのだが、ストーリーにはまだロマンティックな香りがのこるものの、一般的に「ロマンティックな作品」とされる作品にありがちな曖昧さを払拭したこの作品は、悲恋を描きながらも甘くなく、とても見通しがよい。それだけに意外な結末にしばし呆然とさせられる。

 次の愚かな息子ハインリヒのために苦しむカルステンの運命を描く「後見人カルステン」は「聖ユルゲンにて」のさらに10年後の作品。最後に収められた「ハンス・キルヒとハインツ・キルヒ」は息子ハインツを愛することが出来なかったハンスの愚かさを描いた作品で、この作家の最晩年の作品である。
 この二作では、「聖ユルゲンにて」にはまだかすかに漂っていたロマンの香りはもうほとんど残っていない。これらの作品でシュトルムはただただカルステンの、ハンスの愚かさを見つめるのだ。この小市民的な、それだけに容赦のないリアリズムが、考えてみるとちょっと身につまされて怖いかもしれない。

 というわけで、「みずうみ」だけを読んでシュトルムをロマンティック一方の作家だと思っていらっしゃる方にぜひ読んでいただきたい作品集だった。「みずうみ」のファンなら、あれよりも曖昧さが抜けて物語がきれいに流れる「聖ユルゲンにて」はきっと気に入るだろうと思う。
.20 2012 ドイツ文学 comment0 trackback(-)

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