井上周子 Mélanges


 亡くなった義妹が生前お世話になった花屋さんが花展のイベントをするという事で11日に出かけてきたのだが、そこで井上周子さんのリュート演奏会が行われていて、CDが販売されていたので買ってきた。

 リュートはとても音量の小さな、繊細な音色の楽器なので、実演を聴くときは結構集中力が必要だ。今回のライブは普通のホールではなく、花展の会場になった通常は倉庫か何かのようなスペースで行われたので音があまり響かず、だからこそその特徴がよく出ていて、展示されている春の花のイメージとその繊細な音色が不思議なハーモニーを醸し出していた。
 もちろんCDでは音だけを聞くことになるし、オーディオのボリュームを上げればいくらでも音量を上げることもできるのだが、やはり実際の楽器と同じような小さな音で聴くべきなのだろう。
 リュートというと、つのだたかしの演奏会に全部で4回行ったことがあるし、彼の演奏するCDも数枚持っている。だから我が家ではかなり馴染みのある楽器であるとも言える。しかし、つのだ氏以外のアーティストのCDは今回が初めてだ。

 このCDはguillemetsというプライヴェート・レーベルが発売しているCDで、文字だけのデザインのぶっきらぼうな紙のジャケットに収められたアルバム。そのパッケージの佇まい自体になんとも言えない雰囲気を持っている。中身は9曲入り20分という極めて短いアルバムだ。この「Mélanges」は井上さんのセカンドアルバムで、15~6世紀のイタリアの作品を演奏したもの。SpinacinoとかCapirolaとか全く聞いたこともない名前の作曲家の作品が並んでいる。静かだが仄明るい音楽で心に小さな火が灯るような、そんなあまりにもインティメートなその音楽に、もうちょっと聴きたかったと思わせる20分という時間はちょうどいいのかもしれない。
 冬の夜に、春の宵に、ちょっとそばに置いておきたい、そんな音楽だ。
.13 2012 クラシック音楽 comment0 trackback(-)

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