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エドゥアルト・メーリケ 旅の日のモーツァルト


 19世紀以前のドイツ文学にはゲーテ、シラーを筆頭にかなりの数の作家がある。当然今となってはほとんどの作品が忘れ去られた無名の作家もある。逆に作品にはさして価値がないのに、別の理由で忘れられずに現代に残っている作家もある。
 ヴィルヘルム・ミュラーがその好例だ。彼の詩はほとんどが忘れ去られたが、シューベルトが彼の詩に付曲した「冬の旅」と「美しき水車小屋の娘」という二つの傑作歌曲集があるためにその名は現代にも記憶されている。

 メーリケはというと、母国でこそ19世紀最高の詩人とまで言われているようだ。しかし、我が国においてはその詩以外に「画家ノルテン」やこの「旅の日のモーツァルト」といった小説が未だに細々と読まれてはいるようだが、主たる作品が基本的に翻訳に向かない「詩」であったこともあって、もう数十年も経つと少なくともわが国ではヴォルフの『メーリケ歌曲集』の詩人として以外では記憶されないさだめなのではないだろうか。いやそれでも音楽史に残るヴォルフの傑作があるだけでも幸運とは言えるのだろうが・・・

 そんなメーリケの小説「旅の日のモーツァルト」は、歌劇「ドン・ジョバンニ」の公演のためプラハへ向かったモーツァルト一行がその途上とある城に立ち寄ってその貴族の結婚式に立ち会うという一日の物語。
 1856年に書かれたこの作品は、全く史実とは違うフィクションである。今でも歴史上の人物が出てくるが歴史上の事実とは全く無縁の映画がよくあるが、それと似たようなものだろう。さらに、ここに描かれたモーツァルト像は我々が映画「アマデウス」などで見知ったモーツァルトとはかなり違うような気がする。ここでのモーツァルトは軽率なところはあるものの、下品なところはすっかり影を潜め、明るくて比較的良識的な人物になっているようだ。

 全体にはモーツァルトに材をとったたわいもない芸術小説にすぎず、特に高い文学的な価値があるとは到底言えない作品だった、と言わざるを得ない。発表当時もそういうたわいもない軽い読み物という位置づけだったのではないだろうか。
 また登場人物たちの生活と我々の生活の間の埋めがたいギャップもこの作品に親しみがわかない一因だろうか。史実と離れている以上モーツァルトファンにもお勧めしにくい。この作品にはヴォルフの歌曲で有名なメーリケという人がどんな作品を書いたのか知りたいというような、その程度の価値しか残念ながら見つけられなかった。
.04 2012 ドイツ文学 comment0 trackback(-)

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