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ノルウェイの森



2010年 日本
監督:トラン・アン・ユン
出演:松山ケンイチ、菊地凛子

 村上春樹の同名ベストセラー小説を、「青いパパイヤの香り」のトラン・アン・ユン監督が撮った映画。

 さすがに上下二巻の小説を2時間ちょっとに収めるにはかなり物語を端折らないといけないかったらしく、特に前半はジェットコースターのような勢いで物語が流れて行くが、物語の骨格はしっかり押さえられていてストーリー的な違和感はない。トラン・アン・ユン監督は情景を美しく描き込んでそこに主人公たちの心情を写し込むのに巧みなところを見せる。どんどん歩いていく直子と、それについていくのがやっとのワタナベというこの物語を象徴する図式が、二人が東京と病院との2回の再会のあとのシーンで使われるが、どちらのシーンも印象的で非常に美しい。そのほかのシーンでも自然の描写が非常に美しい映画でそういう映像的には本当に素晴らしい。
 その美しい映像に弦楽器による美しい音楽が重なってそういうシーンの見事さは息を呑むほどだ。
 小説で読むと違和感のあるムラカミ節も、1969年の青年の口に上ると全然違和感がない。その69年の空気感もファッションから小道具、部屋の様子までよく表現されていた。
 それと天候へのこだわりが目に付いた。重要なシーンのいくつかで雨が窓の外を濡らしていたり、雪が降りしきっていたりと芸が細かい。晴れているシーンは最初の再会のシーンくらいだろうか。

 ところが単純な演出の点では首をかしげるようなシーンが多い。例えば緑と初めて学生食堂で話すシーン。ここでなぜかトラン・アン・ユン監督は、韓国ドラマもかくや、と思わせるような登場人物のアップでシナリオを進めていく。映画で画面いっぱいのアップを交互に写して会話を進めるというのはありえないナイーヴなカメラワークだと言わざるをえない。劇場で見たら気分が悪くなりそうだ。だからそのあとの、山の病院に直子を訪ねたワタナベが、うつらうつらしていて目が覚めた時にすぐ近くに直子の顔があって、というシーンが全く生きてこない。他にも顔のアップを交互に映す会話シーンが目について鼻白んだ。

 シナリオは、まあこんなもんだろう。「綺麗なエロ映画」になっていたと思う。でも永沢とハツミの痴話喧嘩に巻き込まれるシーンとか、最後のレイコさんと関係を持ってしまうシーンとか本当に必要だったろうか。

 キャストは、何といっても菊地凛子に尽きる。直子役に抜擢されたというニュースを聞いたときには「なんで菊地凛子?」と思ったものだが、実際見てみると見事に直子を演じきっていて素晴らしかった。原作よりもちょっと狂気っぽい感じが強く出ていて、その分彼女がセックスにこだわるのにもリアリティがあった。原作の直子には惹かれないが、この菊地凛子の直子になら惹かても不思議はないと個人的には思った。ワタナベを演じた松山ケンイチのいつもながらの大袈裟さが全くない自然体の演技もいい。直子が少し濃い味だったので、ワタナベがやや薄味でちょうどいい匙加減だ。
 緑は気に入らなかった。トラン・アン・ユン監督がベトナムから連れてきたのかと思うほどベトナム顔の水原希子という人が演じているが、全然魅力を感じなかった。シナリオのせいもあるのだろうが、ただのワガママ非常識エロ娘に見えてしまう。ワタナベがこの緑に惹かれるというのはなんとも納得いかない。
 あとレコード屋の店主や病院の門番であの有名ミュージシャンがちらっと出ているのには笑った。

 まあ内容自体がアレなので、どうしても先に述べたように「綺麗なエロ映画」になってしまうのは致し方ないだろう。それにしてもなんでトラン・アン・ユン監督なんだろう。トラン・アン・ユン監督はこんな作品を撮ってる暇があったら、この作品と同じ時代の、自国ベトナムの若者の物語である「戦争の悲しみ」を撮るべきだと思う。
.03 2012 映画(日本) comment0 trackback(-)

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