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E.T.A.ホフマン 蚤の親方


 先日古本で買ったE.T.A.ホフマンの作品集。「ブランビラ王女」がどうもいまひとつピンとこなかったので放置していたのだが、なんだか読む本が途切れた事もあって「蚤の親方」という作品を読んでみた。

 財産はあるし美男子と評判なのに36歳にもなっていまだ独身のペレグリヌスは、ある夜絶世の美女デルディエ・エルヴァーディングと出会う。ペレグリヌスの屋敷にまで押しかけてきたデルディエはなにやら思惑があるようだ。ペレグリヌスはデルディエにあるものを引き渡すよう懇願されるのだが、何のことやらわからない。そんなペレグリヌスの前に現れたのは蚤の親方。彼は人の心が読み取れてしまう魔法のレンズをペレグリヌスに提供するが、蚤の親方こそがデルディエが欲しているものだった。

 とつらつらストーリーを書いてもなかなか伝わらないだろう。かなり事情が複雑なのだ。登場人物も多い。しかもデルディエはアリーナとも呼ばれ、実はいにしえの王女ガマヘーの甦りなのだ。この王女ガマヘーは大勢の男性を篭絡して世間を渡ってきたが、その美貌を保つには定期的に蚤の親方に血を吸ってもらう必要があったのだ。さらに彼女を追いかける男性たちはみな、ゲオルグ・ペプシュが「薊のツェヘリト」というように現代のドイツ名と神話の名前を持っているからややこしい。
 しかしそういった事情の複雑さもさほど気にならないのは、七つの事件が次から次に起こって、それぞれの事件を連作短編風に仕立てた構成の見事さによる所が大きい。また登場人物はかなり多いが、それぞれのキャラが立っていて非常に読みやすく、面白い。

 この本の巻末の解説には、作品についてはほとんど触れてないのでちょっと調べてみたら、実はこれホフマンの最晩年の作品で、しかも当時の政府の裁判を揶揄する内容が含まれていた疑いがあるとして出版差し止めになったのだそうだ。そういえば物語の中盤、「第五の事件」に、なんとしてもペレグリヌスを罪に陥れようとして画策するクナルパンティなる人物が登場するくだりがある。このくだりは本筋とほとんど関係がないし、どうしてこういう部分があるのかなと思っていたのだが・・・

 全体としては正直言って「ブランビラ王女」や「黄金の壷」などよりもはるかに面白い作品だと思う。短編が巧い作家なので連作短編風のこの作品は幻想味とほどよいドタバタ感がミックスされてホフマンのいいところがよく出た作品だと思う。
 しかし現在この作品はどの出版社からも刊行されていないようだ。池内紀氏の翻訳は今読んでも全く違和感がないし、岩波の「ホフマン短編集」ともども復刊してほしいものだ。
.23 2011 ドイツ文学 comment0 trackback(-)

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