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ラテンアメリカ5人集


 先日もちらっと書いたように、今シュティフターの「晩夏」を読んでいるのだが、この小説は現代人が忙しい時間を工面して空いた時間にちょこちょこ読むような作品ではない。なので私がいつもやっているような仕事の休憩時間に読むとか、そういう読み方では読めない作品だ。「晩夏」に関しては、まとまった読書時間が取れないときは読むべきではない。
 そこで普段の空いた時間に読もうと思って手に取ったのがこれ。現在鋭意復刊中の集英社文庫「ラテンアメリカの文学」シリーズの一作。

 これにはパチェーコ、バルガス・リョサ、フエンテスの短編、オクタヴィオ・パスの詩と掌編、それにアストゥリアスの作品が収められている。
冒頭のパチェーコ「砂漠の戦い」は1950年ごろのメキシコを舞台に友人の母に恋をしてしまった少年の回想譚という形を取りながら、当時のメキシコの社会の異常さを訴える重層的な内容を持つかなり深い作品。いやもちろんただの少年の初恋の物語と読んでもいいし、そう読んでしまっている人も多いようなのだけど、マリアーナが『消されて』しまったあたりはぞっとせずにはいられない。

 リョサの「子犬たち」は少年たちのグループのみんなが、それぞれに友人クエリャルの思い出を語るというプロットの作品なのだが、もちろんリョサの作品は単純なものではない。リョサの手にかかると、ただの思い出話が5人の少年によって同時に語られるのだ。それぞれのセンテンスを誰が述べているのかは全く明らかにされない。これによって独自の効果を作り出す。それはポリフォニーのようでもあり、インプロヴィゼーションのようでもある。翻訳も原文と比較はできないが、独自のリズムを感じさせるものなっていて秀逸。これは傑作だ。

 フエンテスの「二人のエレーナ」はつまらなかった。フエンテスにはもっと優れた作品がいくらでもあると思うのだが。オクタヴィオ・パスは詩「白」と掌編2作。これは全く私の理解の範疇外。この人の作品は「詩」が理解できる人向きだ。
 最後にはアストゥリアスの「グアテマラ伝説集」が収められているが、これは岩波文庫から出ているものの一部と全く同じ内容。すごく損したような気分になった。

 正直言って、南米の作家の作品と言う以外はほとんど共通点のない作品が並んでいる。かなりいい加減なセレクションで編集意図が不明すぎるが、それでも他では読めない作品もあるのでそれなりの価値はあるといえるだろう。ラテンアメリカ文学にある程度親しんだ人が読んだほうが楽しめると思う。逆にラテンアメリカ文学入門者には、ガルシア・マルケスとか、もっとガツンと来る作品を読んだほうがいいのでは、と思う。
.08 2011 中・南米文学 comment0 trackback(-)

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