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アーダルベルト・シュティフター ブリギッタ・森の泉


 オーストリアの作家シュティフターを取り上げるのはこれが3冊目。小市民の小さな幸せを素朴な自然描写を背景に描くというこの作家の不変のコンセプトそのままの短編が三つ並んでいる。

 冒頭に置かれた「荒野の村」は青年フェリックスの成長の物語。学校へ行くと荒れ野の村の家を出たフェリックスは十数年後に戻ってくるが・・・といった物語なのだが、肝心のフェリックスが登場するまでが長い。以前読んだ「水晶」は主人公達が登場するまで20ページほどにわたって自然描写が続いたが、こちらの作品でもフェリックスが登場するまでに13ページほど全く別の少年を主人公にして自然や状況が描写される。

 「ブリギッタ」は語り手の青年が旅の途中に出会った年上の友人を訪問し、そこに滞在するうちブリギッタという中年の女性と出会う。とても美しいとは言えないブリギッタと友人は強い友情で結ばれていたが・・・という物語。後年の長編「晩夏」とほぼ同じプロットを持つ作品なのだが、なんであっちはあんなに長くなってしまったのか。こちら「ブリギッタ」はこの作家にしては珍しく謎(・・・ってほどの謎でもないんだが)をラストまで引っ張ってみせる展開で読ませる。

 ラストに置かれた「森の泉」はかなり晩年の作品だそうで、孫を連れて秘書に訪れたシュテファンと、野性的な少女ユリアーナとの交流を描いたシュティフターらしい善と美に溢れた作品。個人的にはこれが一番好きだった。

 この作家の作品すべてに共通して言えることだが、いずれも経済的に恵まれた人々が主人公で、登場人物は善人しか登場しない。シュティフターは善こそが人間の本質であることを全く疑わない。そのナイーブさこそがこの作家の最大の弱点でもあり、最大の強みでもあるのだ。ここに描かれた世界はナイーブすぎると言われると反論の余地がないだろう。しかし、だからこそ現代人は一種のメールヒェンとしてでも、この作家の作品を楽しむべきではないだろうか。
 こんな世界が可能なら、それは素晴らしい事だろうから。
.28 2011 ドイツ文学 comment0 trackback(-)

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