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田中光二 わが赴くは蒼き大地


 田中光二は、SFや冒険小説作家として非常に多作な作家。高校生くらいの時に結構読んだ記憶がある。本作は1974年発表で作者のかなり初期の作品。これも以前読んだ覚えがある。古本屋で見つけて懐かしくて読んでみた。

 2205年のある日、宇宙人の侵略を受け人類はほぼ滅亡。世界に4つだけ存在している海中都市・アクアポリスに住む5万人ほどだけが生き残った。それから約100年。アクアポリス、パシフィック・シティに住むえら人間(ギル・マン)イトマ・チヒロと精神感応者ジャンは、宇宙人を倒せるかもしれないウイルスの培養のために、地球の裏側、バハマ・シティへの遠征の旅に、潜水艦ノーチラス10世を駆って出る。彼らを襲う海の脅威の数々、そして彼らの行く手に待ち構える運命とは・・・みたいなストーリー。

 物語の筋立て自体がなんだか(発表年は同じなのでどっちかがパクッたという話ではないけど)「宇宙戦艦ヤマト」っぽいし、潜水艦を制御するスーパーコンピュータ、ラルフはどう考えても「2001年宇宙の旅」のHAL9000へのオマージュと言えるだろう。ノーチラス10世の航海はさまざまな困難のあと、ラルフの反乱で終わるのだし、そういう点でも「2001年宇宙の旅」を踏襲しているのだが、そこにこの小説のキモはない。正直第二部までは相棒の美女とか襲いくる未知の怪物とか、よくあるアニメみたいな道具立てと、ピンチをなんとか切り抜ける展開ばかりで正直全然つまらない。
 そのあとの第三部での、カリブ海でのノーチラスを失って生身で海に出たチヒロの旅の顛末こそがこの小説の重要部分になる。ここでチヒロはバハマ・シティを捨てて海で生きる事を選択した人々と出会う。ここでは作者自身ダイバーとしての経験があったのか美しく、かつ恐ろしい海の描写が印象的だが、70年代というイケイケドンドンな時代に、自然への回帰、自然との共生を訴えている点は非常に現代的。素晴らしい先見性である。

 まあ小説自体は特に述べるほど素晴らしいわけでもつまらないわけでもない。SF的にも大して見るべきところはないし、文章も翻訳調で堅苦しい(特にセリフ)が、逆にそこがスタイリッシュなのかも。また所々に非常に印象的な文章があるので油断がならない。全体には肩が凝らない海洋冒険SFの良作といえるだろう。
.11 2011 SF comment0 trackback(-)

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