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山田宗樹 嫌われ松子の一生


 義妹の遺品の中にあった一冊(って言うか上下巻なので二冊)なのだが、長らく床に平積みされたままになっていたものを今回発掘、上下巻は長いな~とか思いながら読み始めるとすらすら読めて3日くらいで読了。

 大学生の笙のアパートを、突然父が訪ねてくる。伯母の松子が死んだというのだ。笙はそんな伯母がいたことすら知らなかった。父に頼まれ松子のアパートを恋人の明日香とともに片付けに行く破目になった笙は、松子がどんな人生を生きてきたのか知りたくなる。そこで笙は中学校の教師からトルコ嬢、さらに殺人犯まで転落していく松子の人生を知ることになる。

 とにかくひどい話で、松子の人生における重要な局面の重要な選択はすべて失敗、松子は悪いほうへと転がり落ちていく。彼女が愛する男も暴力を振るう作家志望の男、その男への嫉妬のあまり松子をもてあそぶ男や、松子を金蔓としか見ていないヒモ野郎とか人間のクズみたいな奴ばかり。それらのクズ男に出会うたびに松子はまたひとつずつ堕ちて行く…というふうに書くと、なんだか悲惨で後口の悪い小説のように思えるが、それが読んでいるとそうでもないのがこの小説の魅力で、過酷な運命に弄ばれつつも常に松子はポジティブで、その時々に彼女にできる最大の努力をしている。トルコ嬢になったらなったで、努力してナンバーワンにまでなる。服役中も美容師の免許を取ろうとがんばる。このポジティブさが、悲惨になりそうなこの小説を救っている。
 一方、笙のパートはかなり退屈で、これは物語を彩る額縁のようなものに過ぎないはずなのに、いろいろと盛り込んでミステリ風に仕立てたつもりなのかもしれないが、全体にありきたりだったと思う。明日香の突然の「決心」は笙と明日香が松子の人生を探っている事と何の関係もないし、最後のほうで笙が松子にえらく肩入れしているのもいまひとつ説得力に欠ける。

 AMAZONのレビューを見ていたら、『プライドが高く、落ちてもプライドだけは一丁前。そんな女に誰も同情もしない。』と言う意見があった。確かに同情できない部分はある。でも松子は同情されたいわけではない。最悪の状況でも自分にできることを一生懸命やっただけだ。松子はバカではない。愛されたい思いが強すぎたがゆえに、男を選ぶ眼が悪すぎただけだ。そんな彼女の、父と病弱な妹を思う心情が読者の心を刺す。それだけに弟(笙の父)の頑なさがつらい。

 とにかくリーダビリティの高い小説で、集中して読めば多分二冊通しても数時間で読めそうだ。この作家は全く知らなかったがかなりこなれた文章を書く作家だと思う。この作品は映画化もされているようで、かなりぶっ飛んだ映画になっているらしい。来月WOWOWで放送されるようなので観てみようと思う。
.25 2011 日本文学 comment0 trackback(-)

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