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The Inhabited Island


Обитаемый остров 2008/2009 露
監督:フョードル・ボンダルチュク
出演:ワシリー・ステパノフ、ピーター・フェドロフ

ストルガツキー兄弟の長編小説「収容所惑星」の映画化作品。2008年に第1部が、2009年に第2部が公開され、合計4時間に達する大作だ。ロシアや公開された各国ではそれなりにヒットしたらしいが、日本では公開はおろかDVDの発売すら予定がないようだ。以前からなんとかして観る方法ないかなあと思っていたのだが、そこはそれネット社会、なんとか観れてしまうものだ。

  とはいえ当然ながら日本語字幕なんていいものはないわけだ。ロシア語はちんぷんかんぷんだが、原作を読んでストーリーの流れは頭に入っているし、英語字幕があればなんとかわかるだろうと観始めた。

 ストーリーは、拍子抜けするくらい原作に忠実だ。上映時間が前・後編あわせて4時間と長いだけあって露骨にカットされたエピソードもない。原作の、なんだか鉄臭さが匂ってきそうな無骨な印象は薄まって、サラクシの街が以外に大都会だったり、空を車(らしきもの)が飛んでいたり、なんだかレトロSFっぽい雰囲気を醸し出しながら物語は進む。主人公の青年マクシムはハンサムだがなんだがにやけた男で、サラクシの人々に感情移入して義侠心を起こす役回りの割にはあんまりまじめな印象を最初のほうでは受けないが、物語が進むに連れてだんだんいい顔になってくるのでまあ及第点としよう。ラダ役の女優さんYuliya Snigir(なんて読むんだろう?)はなかなかきれいな人だ。
 若者の「自由への希求」と、それが若者が思っているほど単純に成し遂げられないことであるという二律背反のようなものがこの作品の原作の苦いラストシーンのテーマなのだが、それは十分に描かれていたと思う。「遍歴者」の「地球へ帰れ!」という言葉にマクシムは「おれは今故郷にいるんだ」と答え、「おれは後悔しない、決して」と続け、ラダとともにサラクシに残る決意を感じさせて終わる。原作のラストとは違う感触だが、原作の精神はちゃんと残っていると思う。

 その反面、いろいろと難点も。ラストのほうの「遍歴者」との対決シーンやそれに先立つカーチェイスシーンがかなりショボい。とくにウルトラ警備隊の「ポインター」なみにごてごて飾り立てた車で行うカーチェイスはかなりダサいし、サラクシの重力が小さいせいなのか、マクシムら地球人が超人的な能力を持っているとは言っても、あの超人対決シーンは大げさすぎるだろう。そういや前半でも落ちてきた巨大な鉄骨をマクシムが持ち上げてガイを助けるシーンがあったが、あれは明らかな間違い。あんなもの軽く見積もっても数百キロはあるはず。多少重力が小さくても持ち上がるはずがない。
 冒頭でマクシムが乗っている宇宙船も、なぜにイカ型なのか全く不明だし、竹林でマクシム一行を襲うトーチカとかメカデザインがやはりイマイチだ。あとセリフで「ゴロバン」と言っていたので間違いないとは思うが、ビッグ・ヘッドらしき生物が出てくる。これは犬というよりは昔のSF映画で時々見かけたかぶり物のクリーチャーで、とても「蟻塚」に出てくる知的なビッグ・ヘッドには見えない。
 長い映画だが、マクシムが「塔」の存在に疑問を抱き、虐げられた人々に感情移入し、「紅蓮創造者集団」に対し反旗を翻す事を決意するまでの流れがいまひとつ簡単に流れた印象もあるが、これは字幕を読む私の英語力の足りなさのせいかもしれない。

 というわけで欠点を挙げればいくらでもある映画だけど、でもそれでもなかなか面白かった。タルコフスキーの「ストーカー」で悔しい思いをした我々ストルガツキーファンとしては、ストルガツキーの物語がこれだけストレートに映像化されたのは素直に嬉しい。この映画をクソだとか時間の無駄とか言う方もいらっしゃるようだが、私は全くそうは思わない。小説から受けたイメージとこの映画が違うからといって、あるいは小説の記述と違うからといって映画を批判するのはナンセンス。もしそうするなら小説を映画化したものの大半は評価できない事になる。素直にこの物語が映画として我々の目の前に現れた事を喜ぼうではないか。・・・って日本版DVD出せよ。
.12 2011 映画(欧州・アジア) comment0 trackback(-)

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