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目取真俊 魂込め(まぶいぐみ)


 夏に読んだ「池澤夏樹編 短篇コレクション1」の巻末に収録されていて私の度肝を抜いた「面影と連れて(うむかじとぅちりてぃ)」。この作品が収録されているオリジナルの短編集がこの「魂込め(まぶいぐみ)」である。これはちょっとチェックしないといかんだろう、と思ったのだが文庫版は廃刊ですでに入手困難。半ばあきらめていたのだが、ハードカヴァーを古本屋さんで発見したので読んでみた。

 この作品集には表題作以下6作が収められている。この作家らしくいずれも沖縄を舞台にした作品である。特に表題作「魂込め(まぶいぐみ)」「面影と連れて(うむかじとぅちりてぃ)」の2作は、前回読んだ「水滴」同様オキナワ風マジック・リアリズムとでもいうような作風で強烈な印象がある。
 「魂込め(まぶいぐみ)」は、魂を落として倒れてしまった幸太郎の体に魂を戻そうとする霊力を持った老女ウタの一人称で描かれている。「水滴」「面影と連れて(うむかじとぅちりてぃ)」同様、霊的なものをきっかけにして沖縄という土地のオリジナルな世界を引き出してみせる。

 この2作が強烈なのでやや分が悪い感があるが、残る4作はやはり沖縄を舞台にした、もうすこしリアリズムな作品が並んでいる。少年を主人公に据えた「ブラジルおじいの酒」「赤い椰子の葉」「軍鶏(タウチー)」あたりは、日本文学というよりもなにか東南アジアの文学を読んでいるかのような味わい。特に「軍鶏(タウチー)」はラッタウット・チャルーンサップの「観光」に収録されていた「闘鶏師」という作品を思い出した。いや単なる闘鶏繋がりかもしれないけど。3作とも少年を主役に据えながら少年を主人公にした作品で陥りがちな予定調和を否定して、彼らは厳しい人生の片鱗を垣間見る事になる。
 もう一作、「内海」は幼い頃に別れその後会っていない父の死を知った青年の心の動きを描いた作品だが、魂の向かう先についての言及などこれもどこかマジックリアリズムな空気が漂う。

 そんなこんなでこの作家の作品、やや日本文学離れしたところがある。普段日本の作家の軟弱な作品ばかり読んでいる読者にはちょっと読みにくくて敷居が高いかもしれない。逆に南米文学とか好きな翻訳文学ファンには抵抗なく受け入れられるのではないだろうか。もちろん私は気に入った。
.28 2010 日本文学 comment0 trackback(-)

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