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ヴィクトル・ペレーヴィン 眠れ


 ヴィクトル・ペレーヴィンの、1991年にロシアで発表された短篇集『青い火影』は発売数日で十万部を売り上げた大ヒット作になった。これはその『青い火影』の前半部分を翻訳したもの。10の短篇が収録されている。

 まず冒頭の「倉庫ⅩⅡ番の冒険と生涯」で度肝を抜かれる。この作品の主人公は、人間でも動物でもない。倉庫なのだ。果たしてこれは、倉庫の運命を通して共産主義に翻弄される人間の苦悩を描いたもの、と単純に考えてもいいのだろうか。
 続く「世捨て男と六本指」は謎めいた環境下で生活する登場人物たちのささやかな冒険を描いた作品で、作品の手触りはストルガツキーの「滅びの都」を思わせる。そういえば「太陽」がついたり消えたりするような描写などは「滅びの都」に対するオマージュっぽいような気もするが、いかにも共産主義国家で抑圧された人々を象徴的に描いているかのように思わせておいて、ラストは…なんじゃそりゃ!という感じでひっくり返される。いやそれとも彼らの置かれた環境と、ソヴィエト時代の人々の置かれた環境は似たようなものだったとでもいうのだろうか。
 「ゴスプランの王子様」では後年の「恐怖の兜」あたりでの新しいテクノロジーを取り込んだ前衛性を垣間見させる。当時はまだあまり一般的ではなかったコンピュータ・ゲームを題材にして現実社会の「迷宮」とゲームのダンジョンを同一化させる発想は極めて現代的だ。
 そして「ヴェーラ・パーヴロヴナの九番目の夢」。ペレストロイカに揺れるソヴィエト崩壊直後のロシアで、人々を包む環境がどう変化したのか、トイレ掃除婦のヴェーラの目を通して描くこの作品はこの作品集中でも重要な一作だと思う。

 他は「眠れ」「青い火影」などわりとこじんまりとしながらもピリッとスパイスの効いた作品が多く、かなり全体のレヴェルは高い。1996年に本書が発売された当初から後半部も出す予定だとされているのだが、いまだに発売されてはいないようだ。ぜひ後半部も翻訳してほしいものだ。群像社さん頼みます。…って今群像社さんのHP見たら今月「寝台特急 黄色い矢」というタイトルで出たようだ。こりゃ買わなきゃ。
.22 2010 東欧・ロシア文学 comment0 trackback(-)

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