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バルガス・リョサ 緑の家


 先日いきなり岩波文庫から発売されておおっという感じだったのだが、私は9月に読んでいたのだが、今月になってリョサがノーベル文学賞を受賞、岩波書店の皆さんの読みが当たったか。
「緑の家」はリョサのわりと初期の作品。1966年発表だ。上下巻でかなりの分量。

 構成が極めて複雑で、サンタ・マリーア・デ・ニエーバという街に建つ売春宿「緑の家」を中心に時期の違う五つのストーリーが、ほとんどシームレスに切り替えなしで語られる。なのでやや読者に高い集中を要求する作品で、海外文学に読みなれていないと・・・いや、そうとうスレた小説の読み手でも、この小説は読みにくいに違いない。しかしこの世界にはまってしまうとその読みにくささえ魅力のひとつである。この小説自体が、まるで南米の鬱蒼としたジャングルのようだ。

 ガルシア・マルケスの「百年の孤独」が100年という長いスパンでの時代の流れをたどりながらマコンドの街の繰り返す歴史を描いていったのとは違い、ここでは時間的にはもっと短いスパンではあるが時空を飛び交うようにしてニエーバの街を彩る人間模様が色濃く描き出されている。その中で描かれる人物像もそれぞれに個性的で、南米らしく濃い人物が多く魅力的。マルケスに代表される南米文学でよく言われる、いわゆる「マジック・リアリズム」とは違って物語そのものはごく普通のリアリズムのもの。あとはこの複雑極まりない構成をどう感じるかでこの作品の評価が決まりそうだ。
 前述のとおりその複雑な構成のせいで読む者に集中を要求する作品なので、「失われた時を求めて」とは正反対に、できるだけ集中してどんどん読むべき作品である。そうして読めばきわめて濃厚な読書体験が待っている。

 バルガス・リョサ、もっと読みたいのだが、今手に入るのはこれ以外では「楽園への道」「フリアとシナリオライター」だけ。今回のノーベル文学賞受賞をきっかけにたくさんの作品が復刊してくれるといいのだが。
.25 2010 中・南米文学 comment6 trackback(-)

comment

「この小説自体が、まるで南米の鬱蒼としたジャングルのようだ。」と、ありますが、なんとなく蒸し暑い夏に合いそうな作品
です。実は、私、今年の夏に「緑の家」を買いました。
せっかくだから夏に読もうと思ったのですが、つい他の本ばか
り読んでしまい、暑かった夏も過ぎてしまいました。
うわ~残念。暑かったのにな~今年の夏。
また、夏になったら挑戦します。
でもあんなに暑い夏って何年後?


2010.11.22 13:01 | URL | 人情 #- [edit]
そういえば南米文学はだいたい夏向きな気がしますね。

南米といえばガルシア・マルケスの「誘拐」が文庫化されてたので買いました。あと「遭難者のナントカ」を手に入れたらコンプリートです。
2010.11.23 00:40 | URL | piaa #- [edit]
正月休みに入って、やっとコメントする余裕ができたので、遅ればせながら書かせていただきます。
私的には、昨年1年間で読んだ本の中では、トップの評価が下せると感じました。

確かに最初はとても読みにくいのですが、途中から映画を見ている感じで、ここはモノローグとか、ここでカットバックとか、場面(というか画面)が変わっていくリズムに慣れると、意外にどんどん進みました。
主題とかテーマとか難しいことを考えずに、鬱蒼としたジャングルに入り込み、悠久のアマゾンの流れに身を委ね、砂漠に静かに降り積もる雪のような砂の感触を味わいながら、キャラ立ちした登場人物に感情移入していく。いくつかの断片が組み合わさっていく間に、物語が少しずつ全貌を明らかにしていく。得難い体験でした。

もう一つ、邪道は承知で、google mapを最大限活用してみました。ピウラ、サンタ・マリア・デ・ニエーバなど、googleで見えるんですよね。しかも、写真を表示してくれるモードにしておくと、投稿された今のピウラやサンタ・マリア・デ・ニエーバの写真を見ることができ、街のイメージがとても豊かになりました。時代が違うとはいうものの、海外文学の一つの読み方かもしれないなと、自分では満足しています。ウィキペディアでペルーの近現代史を調べていますが、ここはまだまだ理解不能。それより次は、アニス酒とかチチャ酒とか飲んでみたいな‥‥と(笑)。

登場人物も魅力的でした。個人的には番長(ここだけは訳語に首をひねってしまいましたが)の一人リトゥーマが気に入ってしまいました。バルガス・リョサの未訳の作品に「アンデスのリトゥーマ」という、番長リトゥーマを主人公にしたものもあるようで、いずれぜひ読んでみたいと思います。それに限らず、リョサの作品には今後も挑戦してみたいですね。
2011.01.02 07:18 | URL | ぷんちち #- [edit]
ぶんちちさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

「緑の家」確かにすごい作品なのですが、読んだ私のコンディションが良くなくて今ひとつ全体が掴めなかった感がありアウォードの選に漏れてしまいました。またコンディションのいいときに読み直したい作品です。

たしかにもっと読みたい作家です。リョサ。
新潮社あたりが早速復刊始めたようですが、「世界最終戦争」がまさかの4000円!…高すぎ。買えませんって。
2011.01.03 20:17 | URL | piaa #- [edit]
つい最近に読み終わったのですが、面白かったものの私にとっては相当な難読作品でした。登場人物が多く、時間や場所が行ったり来たりする事自体は慣れているのでそれほど問題なかったのですが、会話の途中、というより一人の登場人物が話している間に時間が大きく前後してしまうのには相当に戸惑ってしまって。さらに同じ人物が別の名前で登場して、一方で同じ名前の別の登場人物が居たりと、読んでいて相当に混乱して、結局かなり最後まで話の流れがつかめませんでした。「軍曹」とリトゥーマが同一人物だというのも、結構後の方まで理解していませんでしたし。「世界最終戦争」の方がはるかに読みやすかった気がします。
2013.09.30 22:53 | URL | X^2 #CypyILE6 [edit]
X^2さん、こんばんわ。
確かに読みにくい、というか読みにくさでは最高レベルに近い小説といえるかもしれませんよね、この作品。
仰るとおり「世界最終戦争」の方がはるかに読みやすいです。
でもその読みにくさもこの作品の魅力のひとつといえるかもしれません。
またそのうち読み返したい小説のひとつです。再読するとまた印象が違うかもしれませんし…
2013.09.30 23:42 | URL | piaa #- [edit]

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