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高橋しん きみのカケラ 9巻(完結)


 2002年に連載開始以来8年。6巻の発売から7巻の発売まで2年間あくなど、長い中断を挟んだりしたがついにこの巻で完結となった。以下ネタバレ注意。

 この作品を読むとき、どうしても同じ作家の「最終兵器彼女」と比較せざるを得ないと思う。このふたつの作品はいろんな点でよく似ている。大人たちのエゴによる戦いで滅びに瀕した世界を舞台にしている点もそうだし、大好きな相手が究極の兵器であるという点も。
 そうでありながら読了時に「きみのカケラ」の方が「最終兵器彼女」よりもはるかに大きな感動を覚えるのは、これはもちろん希望の感じられたラストの果した割合が非常に高いのは言うまでもない(って言うか「最終兵器彼女」が最近の作品ではあまり見かけないほどの救いのないバッドエンドだったわけだが…)のだけど、それよりもこの作品では少年誌掲載という事もあって恋愛要素を完全に封印し、「最終兵器彼女」にあったベタベタな空気を一掃してしまった点が実は大きいのではないだろうか。

 私は「最終兵器彼女」のレヴューでこの作品を、『恐ろしく巨大な障害を与えられたカップルの愛の物語』と解釈し『その「障害」の部分が破滅であり、しかもヒロインがその破滅に深く関わっているというだけ』と書いた。逆に言えばその「恋愛」の要素が作品の広がりにブレーキをかけ、世界の崩壊を描きながら、その惨状は恋する二人の小さな世界の中に収斂してしまう。それでも田中ユタカ「愛人」が「恋する二人」と「滅び行く世界」を同時に描きながら作品の中でこの二つの事象が乖離したままだったのに比べればずっとよく描かれていると思うのだが、高橋しんというこの作家はそれでも満足できなかった。少年誌に掲載するという事で「恋愛」要素を描く必要のなくなったこの作品では、主人公であるイコロは思う存分「滅び」を見つめる事になる。

 最終巻ではついに「太陽」のもとにたどりついたイコロたちの前に大佐の部隊が立ちはだかる。大佐が手懐けた「トモダチ」とシロはどちらも旧世界の兵器「ヒトガタ」だった。「太陽」を蘇らせるためには「ヒトガタ」と王族のカケラが必要で、そのさい「ヒトガタ」は太陽へと変身するのだ。「太陽」へ変身する権利を奪い合って対決しようとする二人のあいだにイコロは立ちはだかる。「太陽」が旧世界を滅ぼし、人の住めない世界に変えてしまったことを知っているイコロは、シロの「テキか、トモダチか?」という問いに「テキだ」と答える。「太陽」を復活させる事を否定するのだ。
 しかしシロは「トモダチ」と大佐らを退け、イコロの思いをさえぎって「太陽」になる。結果的にはイコロの心配は杞憂に終わり、世界は「太陽」に照らされる事になる。しかし、それも永遠ではない。
 ラストになるエピローグ部分では「希望」が描かれる。これこそが「最終兵器彼女」になかったものだ。だからイコロが死んでしまっても読後感は良い。

 決して読みやすいマンガではない。少年誌レベルの読者が理解できる作品ではないことは間違いないのだが、だがこの作品は少年誌のフィールドでなければありえなかったこともまた間違いない。思えばこの作品は少年少女が主人公、恋愛要素は極小、で世界の問題に直面というパターンで一部のジブリアニメに似た手触りがある。あれだけジブリアニメが高く評価されているにもかかわらず、そういうマンガ作品は日本の出版社ではあまり見かけない。日本のマンガはギャグを除けば、エロかロリコンかバトルか、ほとんどがこの3パターンに収まってしまう。そのどれにも当てはまらないこの作品のありようそのものが現代日本のマンガ制作現場の問題点をも指し示してはいないだろうか。
.29 2010 コミック comment8 trackback(-)

comment

スタージョンの法則です。
どんな分野も9割はカスなのかもしれません。
それにエロと言っても必然的にエロになっているものと、不自然にエロになっているものは全然違います。

それに言ってみるならば、文学に関しては長い歴史の中名作だけが残っていて、その中から選べば素晴らしいものが多いのは当たり前です。

と言いつつ、得意のツンデレですね。(ニヤリ)
2010.08.14 22:17 | URL | 円達磨 #OzsWmzus [edit]
マンガの場合、カスは9割なんてもんじゃありません。99%?それ以上?なかなか完結しない作品が多いからカスかどうか終わるまでわからない場合も多いですね。
文学だって今書店に平積みされている小説のうちカスでないものは多分1~2パーセントでしょう。逆に「名作」とされるものの中にも結構カスが混じってますよ実際。

でもまあその数少ないカス以外に出会いたくていろいろ読むわけです。
2010.08.15 00:20 | URL | piaa #- [edit]
相変わらずのpiaaさん節は清清しいですね。
手放しで絶賛できる作品は確かに1%以下ってのは同意です。
自分的には面白い作品は7割、ちっとも面白くない作品は3割。
それ以外は分類が難しいですね。
気になって手を出している作品や評判を聞き読んだ作品からだとそういう割合になります。
2010.08.16 23:11 | URL | 円達磨 #OzsWmzus [edit]
ちなみに私にとっては集A社の少年漫画(ジャ●プとか)と、S学館の青年漫画(ビッ●コミックとか)はすべてカスですね。
そんなこんなで、書店で平積みになっているコミックに良作なし、と思っていたりします。
2010.08.18 01:40 | URL | piaa #- [edit]
明らかにロリコン漫画なんだよなぁ…。
普通に友達や家族にドン引きされましたよこれ。
2013.01.30 21:33 | URL | 来訪者 #- [edit]
ロリコンどころかペド漫画でしょう…
繋がれてるシーンなんか絶対に人に勧められない。作者の変な趣味入れなければ良い話なのに。まぁそれ目当てで読んでる人もいるんでしょうね。
2014.01.04 01:42 | URL | 来訪者 #- [edit]
この作品からエロとかロリコンとかの要素しか読み取れない人がいるんですね。
ほかに読み取るべき内容がいくらでもある作品だと思いますが。
エロ・ロリコンの方向でなら、批判すべき作品はほかにいくらでもあるでしょうに。
2014.01.04 23:32 | URL | piaa #- [edit]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015.04.30 15:24 | | # [edit]

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