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ル・クレジオ アフリカのひと

l_africain.jpg
 昨年「黄金探索者」を読んで以来私の最も注目する作家になったル・クレジオ。
これはそのル・クレジオが父について書いた作品。訳注を入れても170ページほどの短い作品だが、内容はかなり濃密である。

 ル・クレジオの作品にはどれも、言葉ではなんともいえないエキゾティックな雰囲気があり、その雰囲気自体が彼の作品の大変な魅力であると言えるのだが、ではその雰囲気はどこから生まれたのだろう。
 彼の作品の舞台は南仏を思わせる港町だったり、どこかアフリカの砂漠やサバンナだったり、あるいはモーリシャス島だったりさまざまなのだが、そのどれもが彼自身の生活の記憶から来ているのである。この作品で語られる父ラウルの生涯とその肖像は、彼の作品の中に再三現れるアフリカのパートの種明かし的な側面も持っている。

 クレジオの独特の流れるような文章で父ラウルの人生が語られていて、ここではストーリーはほとんど意味を持たないのだが、ラウルの人生を要約すると、第2次大戦前に妻子をフランスに残してアフリカに渡り、医療に従事する。戦争が始まるとヨーロッパに帰れなくなる。フランスがドイツに占領されたと聞いて焦るが何もできない。息子ギュスターヴ(作者)と父が出会うのはずっと後のことになる。これをル・クレジオ一流のポエジーとエキゾティズムをまぶした美しい文章で読ませる作品で、その美しい文章にひたるだけでも読む価値は十分。
 そこにさらに、少年時代のノスタルジアや、正反対に背後にある過酷な環境などを盛り込んで非常に深みのある立体的な作品になっている。

 所々に作者自身の手になる写真を挟みつつ語られるラウル・ル・クレジオの生涯と、アフリカに生涯を捧げた父との関わりを通して、作者自身がフランス人でありながらアフリカ人でもあることを静かに宣言している作品であるとも言えると思う。原題の『L'Africain』は「アフリカ人」と言う意味だが、これは父ラウルのことを指すと同時に息子ギュスターヴをも指しているのだ。だからこの本の副題「父の肖像」はもちろん間違いではないのだが、説明過多でもあり不要ではないかという印象を持った。
.16 2010 フランス文学 comment0 trackback(-)

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