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トニ・モリスン ジャズ


 トニ・モリスンは米国の作家。1993年のノーベル文学賞受賞作家である。最近ハヤカワepi文庫で続々出ているのでどれか一冊読もうと手に取ったのがこれ。

 …で、どうやらこの作品を選んだのは失敗だったようだ。さっぱりわからないのだ。

 1926年、冬のニューヨーク。夫ジョーは愛人の若い女ドーカスを射殺してしまう。怒り狂ったジョーの妻ヴァイオレットはドーカスの葬式に現れ、遺体に切りつける。ヴァイオレットはやがてドーカスの事を知りたいと思ったのかドーカスの育ての親で叔母のアリスに近づく。やがて物語はヴァイオレットの両親や祖父母にまで遡っていく…といった感じの本なのだが、これが途方もなく読みにくい。まず物語は語り手の一人称で「私は…」という形で語られるのだが、この語り手が何者なのか全くわからない。普通一人称の小説というものは登場人物の一人、主人公または主人公のそばにいる人物の視点で書かれるものだと思うのだが、ここでの語り手は自分が何者なのか、ジョーやヴァイオレットとどういう繋がりがあるのか全く明かさない。しかも小説の後半ではその語り手の視点をいきなり離れてジョーの視点に変わったりする。物語も一定の時間の流れを無視する方法で書かれている。こういう手法は決して珍しくはないと思うのだが、例えば「ペドロ・パラモ」のような呪術的なものから自然発生的に現れたものでも、「死の島」のような構成上の高度なギミックでもない。いや、そこには過去に向かうなにか、物語的な必然性があるのだろうが、どうにもその必然性が伝わってこない。

 そういったこと以前に、そもそもストーリー自体が全く伝わらない作品で、なんと言ってもそこが一番この作品を読みにくくしていると思う。巻末の解説にきっちりストーリーの要約が載っていることが、この作品のストーリーが掴みにくいものであることを示している。私もご多分に漏れず、全くストーリーが掴めず、途中で放り出しそうになりながらも一応最後まで読んでみたが、正直感想を書けるほど理解できたとは到底言いがたい。所々で非常に美しい文章や表現があり、だからこそこの伝わらなさに苛々させられる、とても珍しい作品だった。

 ちなみにこの作品は「ジャズ」というタイトルが示すように、ジャズの即興演奏のイメージで文章を書いたものなのだそうだ。詩ならまだしも、小説でそれをやるのはちょっと無謀なような。ちなみにこの作品はこの人の作品の中でも群を抜いて読みにくいのだそうだ。機会があったら他の作品も読んでみるべきかな。
.01 2010 北米文学 comment4 trackback0

comment

こんばんwa

トニ・モリスンは「青い眼になりたい」を昨年読みかけたんでが、途中で投げちゃいました。
文章に散見されるいかにもエリート臭のする気取った詩的・象徴的表現が鬱陶しかったんです。
でも、あ~、言い訳なのかも。
体力も知力もないみたいです(笑)
2010.03.03 20:03 | URL | ojyamasimasu #- [edit]
ojyamasimasuさん、こんばんわ。

>気取った詩的・象徴的表現が鬱陶しかった
…そうなんですか?では他の作品も似たり寄ったりなのでしょうか?

「ジャズ」の場合、これだけわからない話ですから、投げ出されても当然とも言えます。
ノーベル賞作家としては正直期待はずれでした。
2010.03.04 00:36 | URL | piaa #- [edit]
大学でtoni morrison のjazzを研究していました。
正直、morrisonではなく訳が悪いと思います。訳者は著名なmorrison研究者の方ではありますが・・・なんか日本語が読みにくいです。
2011.12.20 17:44 | URL | honeybee #ZnoItgko [edit]
honeybeeさん、コメントありがとうございます。

う~ん、翻訳のせいもあるんでしょうけどね~、それだけでこれだけ読みにくくはならないような気もするんですがどうなんでしょう。
モリソンはその後短編の「レシタティフ-叙唱」というのを読みましたがこれは見事な作品でした。なのでなにか他の長編も読もうと思うのですが、どれを読むべきなのかわからずにいます。
2011.12.21 02:01 | URL | piaa #- [edit]

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