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ヘルマン・ヘッセ 車輪の下で


 意外と読んでいないドイツ文学の、意外と読んでなかったヘッセの名作。従来は「車輪の下」として有名なこの作品の松永美穂氏による新訳版である。

 主人公ハンスは地元一の秀才。猛勉強の末、難関の神学校の入試に合格する。しかし厳しい学校生活になじめず、ドロップアウトしてしまう。機械工として新たな人生を歩もうと決意するハンスだったが、運命は彼の味方をしてくれなかった、というようなストーリー。

 ドイツ文学って、けっこう悲惨な話が多いような気がするが、これもかなり悲惨な話だ。現代に置き換えれば、地方の小さな町の秀才くんが某一流大学の例えば医学部に入学するが、学校でうまく行かず中途退学し、故郷に帰ってそこの小さな会社に就職するものの、その矢先交通事故で死んじゃった、みたいな。小説のあらすじとしてはそんな感じだが、実際に読んでみるとこの作品、かなり強烈に学校や教師といった教育機関への不信が織り込まれている。これは作者のやはりうまく行かなかった学生時代の思い出が元になっているらしいのだが、ヘッセ自身よほど学校や教師たちに不満だったのだろう。そういう個人的な不満が噴出したような作品で、そういう否定的な筆致が作品自体に強烈な負のバイアスをかけているような気がする。これを教育社会への警鐘と捉える読み方ももちろんできるのだろうけど、いまの世の中を思うと『勉強に打ち込みすぎて経験すべきことをしなかった』などという言い方は一面的過ぎる。『子供の遊びをしすぎて最低限すべき勉強をしなかった』大人が、社会に溢れているのだから。

 神学校で友人になるハイルナーとのエピソードはやや同性愛的な香りを感じさせるが、これは当時の寄宿学校のシステムではわりと当たり前なこと。これが描かれた後では故郷に帰ってからの蓮っ葉娘エンマとの恋のエピソードは余計な感じさえしてしまう。
 所々に美しい描写があるものの、全体の内容から言えばなんでこれがこの作家の代表作で傑作とされているのか疑問に感じずにはおれないような作品だ。それにしても去年読んだ「魔の山」といい、どうもドイツ文学とは相性が悪いような気がしてきた。
.15 2010 ドイツ文学 comment0 trackback0

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