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メトロポリタン歌劇場/ラ・ボエーム

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 NHKハイヴィジョンで放送されたプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」を観た。これはメトロポリタン歌劇場での2008年4月の公演を録画したもの。30年前から繰り返し上演されているゼッフィレリ演出でアンジェラ・ゲオルギュー主演の最新舞台を収録したものである。

 詩人のロドルフォは画家のマルチェッロ、音楽家のショナール、哲学者のコルリーネとともにカルチェ・ラタンの屋根裏部屋で貧乏暮らしをしている。経済的には苦しいが気の合う友人たちとの暮らしは何物にも替えられない楽しいものだった。クリスマスの日、ショナールが小金を稼いできたのでカフェ・モミュスへ繰り出すことになるが、ロドルフォは仕事が残っていたので部屋に残り仕事を仕上げてあとから行く事にする。そこに階下に住むミミという娘が火をもらいにやってくる。ロドルフォとミミはひと目で恋に落ちるが、ミミは肺の病に冒されていた…

 という風に書くと、いかにも、というような感じのストーリーが展開する「ラ・ボエーム」というオペラは、パリのカルチェ・ラタンに住む芸術家の卵たちの生活を描いたアンリ・ミュルジェールの『ボヘミアン生活の情景』という小説・戯曲をもとにして書かれている。原作はもっといろんな意味でリアルなものだったらしいのだが、このオペラの台本にはプッチーニの好みが入って純愛ものの要素が強い。結果「泣かせる」オペラとして他の追随を許さない。私はこのオペラがかなり好きで、TVで何回も観た(実演は残念ながら観た事がない)が、何回観ても、どんなキャストでもラストでは泣きそうになってしまう。たとえば2年位前に観た砂川涼子さんのミミは超きれいだったのでそりゃ泣くよね、という感じだったが、パヴァロッティとフレーニの、ロドルフォとミミがどう見たって中年カップルに見えるような舞台でもラストではやっぱり泣きそうになってしまうのだ。そうさせるのはプッチーニの哀切極まりない音楽のせいなのだろうか。

 このオペラでのプッチーニの音楽は一見とても地味に思える。各幕に前奏曲もないしバレエのシーンもない。しかしよく聴くとこの作品の音楽は非常に精巧にできている事に気づく。音楽がまず前に出てくるイタリアオペラには珍しく、ここでは音楽がそれぞれの情景を支える役に徹している。登場人物のそれぞれのアリアの旋律をライトモティーフ風に使っているのもイタリアオペラとしては珍しく、そういう意味ではワーグナーの楽劇をも思わせる。伝統的なナンバー・オペラの形式も踏襲していない。それでいて甘く親しみやすい音楽は青春の光と影を感じさせる巧みなものである。さすが名作というところか。

 で、今回観た演奏でいうと、ロドルフォのラモン・ヴァルガスはルックスがイマイチだなあと思いながらも見事な歌で納得。演技も素晴らしい。ミミを演じたゲオルギューは少し歳をとったけどまだまだ十分きれい。演出そのものは30年前からやっている古典的なもので、このゼッフィレリ演出による舞台は以前にも観たことがあるのだが、各幕とも非常に完成度の高い凝りまくったセットが見事。第1幕・第4幕の屋根裏部屋のリアルな狭さと雑然さぶりにも感心させられるが、特に第2幕は圧巻で、オペラの舞台に一度にこれだけの人間を上げた前例があるのだろうかというほどの人数。さらにはホンモノの牛や馬まで登場する。
 ミミが従来の世間知らずで清純な女性としてではなく、積極的で現代的な女性として描かれている点もポイント。たとえば第1幕でミミは自分で蝋燭の火を吹き消してしまうのだ。

 幕間にルネ・フレミングがキャストや裏方の人たちにインタビューする映像があり、これがまたなかなか興味深い。このオペラが愛される理由としてゲオルギューが「誰もが理想とする愛が描かれているから」と語る。もちろんそう言えるんだけど、なによりこのオペラを観る事で、誰もが自らのモラトリアム時代の苦しさ・楽しさと成就されなかった恋愛を思い起こされるからだろうと思ってしまうわけだ。
.15 2009 クラシック音楽 comment0 trackback0

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