FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)

スタニスワフ・レム すばらしきレムの世界2


 我が家にある貴重レム本のなかでも、サンリオ文庫版「浴槽で発見された手記」やハードカヴァー版「宇宙飛行士ピルクス物語」などと並んで古本などでかなり高額になっている一冊。ちなみに私は場末の古本屋さんで100円で買った。
 ちなみに「1」の方はまだ実物を見た事もない。

 これは短編集で、レム本人のセレクションによる6作の短編を収めている。
 レムの独立した短編集というのは以外に少ない。「ロボット物語」シリーズや「泰平ヨン」シリーズ、「ピルクス」シリーズはいずれも連作短編なので、そういう意味でも貴重な短編集だ。

 「闇と黴」はどこかの研究所で作られた生物兵器のようなモノが繁殖して一人の男を、さらには人類社会をも破滅に追い込む物語(だと思う)。この作品集の中では唯一アクションのある作品なのでわかりやすいが、問題となる、繁殖し続け壊す事もできない「ボール」がなんなのか、作品中では全く説明されないあたりがいかにもレムらしい。
 「ハンマー」は宇宙飛行士が孤独な宇宙飛行の退屈を紛らわそうとコンピューターと会話するうちコンピューターに信頼が置けなくなり、やがて欺されたと思ってコンピューターを破壊してしまう。「2001年宇宙の旅」のHAL9000のくだりを髣髴とさせるエピソードだが、HALよりもさらに人間的なコンピューターを配する事で人間の愚かさを読者の眼の前に突きつける。
 「リンファーテルの公式」は、サイバネティクス学者リンファーテルの独白の形式で、超知性を持つ電子頭脳を作り上げてしまう顛末を語る作品。自らの作り出した超知性に恐れをなしたリンファーテルは自分の作品を破壊してしまうという、レムらしいペシミスティックな作品。
 「手記」では惑星全体を覆うような巨大な脳が残した文章の翻訳とされるもので、徹底的に抽象的な考察が延々と続く恐るべき短編。同じ超知性の書いた文章という設定でも、人間が読むことを前提にして書かれた「ゴーレムⅩⅣ」などよりもさらに難解だ。
 さらにこれに輪をかけて難解な「真実」のあと、ラストにはふたりの宇宙飛行士の孤独な旅を描く短い作品「二人の若者」が置かれている。

 というような感じで、正直かなり読みにくい作品が並んでいて、短編集とはいえずっしり重い内容である。ここに並んだ作品世界はいつもながらペシミスティックなものばかり。レム好きならたまらないだろうが、レムをはじめて読むような一般のSFファンには絶対にお勧めできない一冊だ。

 それにしてもこの作品集に「すばらしきレムの世界」というタイトルをつけたのは訳者の深見弾氏が編集部かは知らないが、その皮肉なセンスがまたレムっぽくてニヤリとさせる。
 「1」も読みたいなあ。だれか安く譲ってください。
.13 2009 スタニスワフ・レム comment0 trackback0

comment

post comment

  • URL
  • comment

  • password
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://piaa0117.blog6.fc2.com/tb.php/1092-649f1da0

プロフィール

piaa

  • Author:piaa
  • Livedoorへ移転しましたので、そちらでお願いします。
    http://blog.livedoor.jp/piaa0117/

    こちらのブログへのコメントはLivedoorに転載しますが、定期的にチェックしないので相当遅くなることもあります。

ブログナビ

P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ --年--月
  ├ カテゴリー
  |  └ スポンサー広告
  └ スポンサーサイト
P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ 2009年07月
  ├ カテゴリー
  |  └ スタニスワフ・レム
  └ スタニスワフ・レム すばらしきレムの世界2

カレンダー

08 | 2018/09 | 10
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

月別アーカイブ

カウンター

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。