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重松清 流星ワゴン


 重松清という作家も、非常に評判が高くていつか読んでやろうとは思っていたのだが、義妹の遺品の中にあったこの本を読んでみた。というわけでこれが私にとっての初重松。

 最近の日本文学って、ファンタジー路線がデフォルトなのかなあ。昨年から読んできた日本人作家の作品でも「沼地のある森をぬけて」「家守奇譚」「薬指の標本」「蛇を踏む」「しゃばけ」…みんななにかこう超現実的な設定の作品である。いやそれが悪いとはいわない。「家守奇譚」などは非常に高いレベルの純文学作品になっているわけだし。

 これは失業し、息子は家庭内暴力に走り、妻は外で浮気していて離婚を言い出し、まあ要するに踏んだり蹴ったりの状況で死んでもいいかなあと思いだした中年男カズオの前に、一台のワゴン車がすうっと停まる。ワゴン車を運転する橋本さんは5年前に息子の健太くんとともに事故死している人で、いまは健太くんと二人で「死にたいけどこの世に思いを残している人」を「人生の転機」の日に連れて行くことを仕事(?)にしているのだ。そこでカズオは、ガンでもう数日しか生きられない父とともに、カズオの「人生の転機」の日々をやり直す事になる。

 この作品は素晴らしく精密に書かれている。人生の転機の日をやり直すとは言ってもかなり制約があり、カズオが修正した事柄は未来にほとんど引き継がれないこととか、38歳のカズオの前に現れる父がやはり38歳だったりとか、ファンタジー的な、一見ありきたりなガジェットにそういう細かい細工を施す事で物語を作者の考える方向へ確実に運んで行く。作品そのものはカズオと父のチュウさん、息子の広樹、それに橋本さんと健太くんの3組の父子の関係と修復が見事に描かれていて感動的な作品なのだが、そこへ持っていく物語上のガジェットの扱い方がいかにも人工的に、周到に計画されている感じがして、そこが気になるととたんに感動が遠ざかるのも否めない。そう考え出すと全体に作り物っぽい感じが気になってしまう、そんな作品だ。

 いや、作品として決して悪くはない。それどころか非常によく書かれた見事な作品なのだ。息子との関係に悩む父親にとってはきっと感じるところのある作品だと思う。でも私には息子いないし、娘たちとは仲いいのであんまりこの本読む必要はないかな。というわけでかなり読者を選ぶ作品だとも言えるかもしれない。
 それと気になったのはカズオの妻、美代子。彼女の置かれている状態は、これは立派な精神的な疾患だ。ちゃんとした治療を受ける必要がある。悩んでいる暇があったら病院に行くべきだ。

 それにしても、日本語で書かれた小説って読みやすい。460ページもあるのに、あっという間に読んでしまった。「魔の山」にはあんなに難儀したのに。
.08 2009 日本文学 comment0 trackback0

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