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サン・テグジュペリ 夜間飛行


 「星の王子さま」で有名なサン・テグジュペリの作品2編を収めた一冊。
 よく知られているようにサン・テグジュペリは自身パイロットであったわけで、その経験を生かして書かれたこれらの作品は、フランス文学史に独特の光を放っている、といえるだろう。

 新潮文庫から出ているこの本には作者の最高傑作と言われる「夜間飛行」と作者の処女作である「南方郵便機」の2作が収められている。
 まず巻頭に置かれた「夜間飛行」は、南米とヨーロッパを結ぶ郵便航空輸送会社の支配人リヴィエールを主人公に、パイロット・ファビアンのフライトの様子を絡めて描いた作品である。その引き締まった構成とクールなリヴィエールのキャラクターの魅力もあって非常に読みやすい作品だ。この作品には無駄がなく、危険なフライトを描く部分のスリルや、ファビアンの妻を登場させる事で物語に厚みを出したりと言った部分もうまく配してあり非常に完成度の高い作品だといえるだろう。
 ファビアンの機体が、嵐の雲の上に浮かび上がり月光に照らされるシーンの幻想的な美しさは読者の心に強力な印象を残す。

 一方「南方郵便機」の方は大体「夜間飛行」と似たようなプロットの作品で倍くらいの分量があり、ストーリーのなかで恋愛が大きな位置を占めるなどかなり散漫な印象を受ける作品だ。こちらは「夜間飛行」に比べてぐっと読みにくく、特にはじめのほうは何を言いたいのかよくわからない。最後のほうでは「夜間飛行」と同じような悲劇的な結末を迎えるが、「夜間飛行」のほうがはるかに美しく文学的な結末だと思う。登場人物の魅力にも乏しく、私の印象としてはこの「南方郵便機」と言う作品は「夜間飛行」のための習作のように思えてならなかった。

 それとひとつ気になったことがひとつ。この本には、「夜間飛行」の前にジッドの、「南方郵便機」の前にブークレルの序文が収められている。これがかなり説明的(今風に言うと『ネタバレ』)で、わざわざ作品の前に置く必要があっただろうか。

 「星の王子さま」があまりにも有名なので、サン・テグジュペリという作家を童話作家だと思っている人も多いのではないだろうか。それは間違いで、「夜間飛行」こそ彼の真の代表作なのだ。本来「夜間飛行」の作家が童話を書いたものが「星の王子さま」だと評価すべきだろう。
 「星の王子さま」の主人公「僕」は、不時着して行方不明になったファビアンなのかもしれない。
.11 2009 フランス文学 comment4 trackback0

comment

こんばんは。

先月の成田空港の事件からふと思い出し、ついこの前再読しました。
私は、光だけで人間の存在をとらえる、冒頭の飛行シーンがお気に入りでした。
宮崎駿や池澤夏樹が影響を受けたというのがよくわかるシーンでもあるなあと思います。

2009.04.12 00:13 | URL | ふくろう男 #- [edit]
>宮崎駿や池澤夏樹が影響を受けた

なあるほど。飛行シーンの独特の浮遊感はジブリアニメっぽいかもしれませんね。
飛行機で飛ぶ事自体が大変な冒険だった時代の物語にロマンを感じるのですが、そのロマンに安住せずビジネス物としてのクールな側面もあってとても印象に残る作品でした。
2009.04.12 19:33 | URL | piaa #- [edit]
こちらにもお邪魔します。

私は文庫ではなく、「夜間飛行」のみの、みすず書房の単行本で読みました。
序文、確かにネタバレ的でもあるのかなぁ。
私はおお!わかりやすい!と単純に喜んでしまいましたが。笑

夜の美しさと、その道を行く孤独や厳しさが印象的でした。
2009.04.16 23:26 | URL | つな #- [edit]
みずす書房の単行本、いいですよね。高いけど。
でもみすずのと新潮のでは翻訳者が違うはずですよね。
そうするとこの「序文」はついているのがデフォルトなのかな。
2009.04.17 15:01 | URL | piaa #- [edit]

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