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アントニオ・タブッキ インド夜想曲


 タブッキは先日紹介した「逆さまゲーム」に引き続きの2冊目。こちらは150ページほどの中篇小説である。
 失踪した友人シャヴィエルを探してインドをさまよう青年を描いた作品なのだが、12の章はそれぞれ独立したエピソードで、連作短編と捉える事もできる。どの章にも実在するインドの町やホテルが描かれ、巻頭には「この本に描かれている場所」の一覧まで載っている。まるでガイド・ブックみたいに。
 でも書かれている内容はインドの街角のすえた匂いと乾いた暑さを感じさせながらもとても幻想的で、そのギャップが独特の胡散臭さを放つ不思議な小説である。そのラストの不思議な終わり方もあって一度読んだら強い印象を受ける。
 タブッキ、私にとってはかなり面白い。カルヴィーノが好きな人はぜひ読んでみるといい。同じイタリア人だからかどうかわからないが軽妙さと意表をついたストーリー展開はどことなく共通しているように思う。カルヴィーノをあっさり読みやすくした感じといったところだろうか。カルヴィーノと似てるかどうかは別にしても同じ現代イタリア文学を代表する作家としてカルヴィーノファンにはぜひ一度読んでいただきたい作家である。

 …で、これからこの「インド夜想曲」を読む人にはぜひ巻頭の「はじめに」をよく読んでから本編を読むようにお奨めしたい。ここにはこの小説を理解する鍵になる事が書いてある。
 ここには「これは不眠の本である」と書いてあるのだ。
 不眠。眠れない暑い夜。日本の夏は暑い。多分インドとそう変わらないくらい暑い。そんな眠れない夜にお奨めの一作。
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.28 2006 イタリア文学 comment2 trackback0

J2 鳥栖×山形


 私の住んでいる長崎県にはJリーグのチームはないので、Jリーグの試合を見たいと思ったら遠征する必要がある。鳥栖、福岡、それに大分くらいが行ける限界だろうか。今日は一番近いということもあって、サガン鳥栖の試合を家族みんなで見に行ってきた。
 鳥栖スタジアムはJR鳥栖駅のすぐ隣にあるサッカー専用のスタジアム。よくこんなの作ったなあと感心する。写真の通りピッチと客席が非常に近くて観戦しやすいスタジアムである。 スタジアムの周辺には無料の駐車場がかなりの台数ぶん確保してあるところも素晴らしい。
DSCN5141.jpg
↑スタジアムの外観。
 鳥栖はJ2のチームなのでTVで観ることもなくてなじみが薄かったが、いざ行ってみるとやっぱりなんとなく応援してしまう。りっぱなにわかサポーターである。先発メンバーをチェックするとMFユン選手と長身のDFキム選手の二人の韓国人選手がいることがわかった。なかなかインターナショナルだ。今日はモンテディオ山形との試合。

 キックオフ直後から攻める鳥栖は4分に地がFKを決めて先制。スタジアムは早くも大盛り上がりだ。その後も攻めて山形ゴールを脅かす。11番の選手の動きがいいね、と言ってたら11番の新居選手は現在J2得点王だそうだ。結局前半はそのまま1-0で終了。
 ところが後半立ち上がりから山形が攻勢に転じる。鳥栖はファウルを連発。いやな雰囲気だと思ってたら山形のFW根本に同点ゴールを奪われてしまう。オフサイドだと主張する鳥栖イレブン。だが主審の判定は覆らない。しかし本当の悪夢はその後やってくる。
 MFユンが相手選手を殴って退場になってしまうのだ。一人少なくなった鳥栖は防戦一方。後半19分には逆転を許してしまう。終盤反撃し、GKも攻撃参加するなど執念を見せたが結局1-2で敗戦。最後はちょっと脱力してしまった。

 負けちゃったのは悔しかったけどなかなか盛りだくさんで見所の多い面白い試合だった。でもお客さんが4184人しかいないってのは寂しい。日本代表と違ってチケットもそんなに入手しにくかったり、値段が高いわけじゃないし、J1でもJ2でもいいから会場が近い人は観戦しに行って雰囲気を味わってほしいなあ。
 我が家の次女MINMINは自分の街にこんなスタジアムがあったら毎回でも行きたいと申しておりました。長崎にもJリーグチームをぜひ!
.27 2006 国内のサッカー comment2 trackback0

安彦良和 機動戦士ガンダムThe Origin 第13巻


 ついに1年戦争が開戦、ジオンはサイド2ハッテに侵攻、コロニー落とし作戦を実行させるため首都バンチ「アイランド・イフィッシュ」の住民を毒ガスで抹殺する。ジオンはさらにサイド5ルウムへ侵攻、連邦軍艦隊はここでジオンを叩くべく集結、ルウム戦役へと発展する。13巻ではルウムでの戦闘開始までが描かれる。

 まず破壊される運命のコロニー「アイランド・イフィッシュ」に住む青年ユウキの悲劇が描かれ、胸を突かれる。彼の将来も愛も夢も、ギレンの野望の元に打ち砕かれるのだ。
 そしてサイド2での作戦終了後、愛娘ミネバを抱きながら「オレは何万人ものミネバを殺してしまった」と泣くドズルの姿がまた胸を打つ。
 このあたりのエピソードを描いてしまうのが安彦氏の作家としての良心なのだろう。単なるSFまたは歴史劇にとどまらず、こういった、古今を問わず戦争というものに付きまとう普遍的な痛みを感じさせる、血の通った描写がこの作家の、この作品の素晴らしいところだと思う。

 シャアは赤いザクⅡ(ガンダムと戦った機体)を手に入れ、すでに「赤い彗星」の異名を取っている。セイラはシャアが兄かもしれないという情報をタチ中尉から得ている。(だから第2巻でシャアに会った時あんまり驚かなかったのね)ってタチ中尉、なにしにルウムまで来たのだろうか? キャスバルが生きていると考える根拠は何だったのだろう。(それにあっさりセイラ見つけすぎ)

 次の巻ではルウム戦役の詳細が描かれる。その後本筋に復帰か?
.26 2006 コミック comment0 trackback0

スタートレック ボーグボックス


 スタートレックはアメリカの超有名SFテレビシリーズ。SFテレビ映画の草分け的存在で、これまでに5つのTVシリーズ(約700回分)と10作の劇場用映画が製作されている。今年で40周年だそうでいろいろな企画が進行しているようで、以前紹介したスタートレック・ベストエピソード・コレクションもそのひとつらしいのだが、DVDの発売予定としてはテーマ別の4種のボックスが目玉で、その第1弾がこの「ボーグ・ボックス」である。

 ボーグとは、スウェーデン人でもクネクネしたゲイのダンスでもない。はるかな銀河の向こう側からやってきた半分生物、半分機械の宇宙人で、遭遇する生命体を次々に同化していく。生物に出逢うとボーグは相手にナノマシーンを注入し、このナノマシーンはあっと言う間に相手の体内で増殖し、オーガニズムを改造して相手をボーグにしてしまう。非常に高い技術を持っていて、たった1隻のボーグ・キューブと呼ばれる立方体型の戦艦に二十数隻の宇宙艦隊が全滅させられた事があるほどである。ビーム攻撃などは数回受けると順応してしまうので倒すのは至難の技である。
 その強敵・ボーグの登場するエピソードを集めたのがこのボックス。DVD4枚に14エピソード、12時間に渡って収録されている。ファンならコンプリートのボックス買えよという人もいるだろうが、TVシリーズってやつはどうしても玉石混淆なのでこういう傑作選を見たほうが手っ取り早い面は否めない。

 早速冒頭の「覚醒する恐怖」を観た。これは最新シリーズながらカーク船長よりも前の時代の物語、「エンタープライズ」のエピソード。映画「ファースト・コンタクト」で21世紀にタイムトラベルしてきたピカード艦長のエンタープライズEが撃破したボークの宇宙船「ボーグ・スフィア」は北極圏に墜落していた。約100年後、調査班が凍ったままのボーグを2体発掘する。蘇生したボーグは調査班を同化し、輸送船を奪って宇宙へ。それを阻止すべくアーチャー船長のエンタープライズNX-01が向かうが…と言う物語。
 すごい。めちゃめちゃ面白い。最新シリーズだけあって映像もキレイ。エンタープライズNX-01はカーク船長のNCC-1701よりも狭くて暗くてリアル。もちろんボーグに対して予備知識の全くないアーチャーたちはこの未知の脅威にどう立ち向かうのか? 普段ピカードの「新スタートレック(TNG)」にしか興味を示さないMINMINも引き込まれて見ていた。
 このあとはTNGから6本と「ボイジャー(VGR)」から7本。特にVGRのエピソードはどれも強力そうだ。

 今後の発売予定を見ると「タイムトラベル・ボックス」「Qボックス」「クリンゴン・ボックス」が用意されているのだが、なぜか収録エピソードがダブっている。これはもうちょっと考えてほしかった。今回の「ボーグ・ボックス」でも「浮遊機械都市ボーグ」前後編が「ベスト・エピソード・コレクション」の第1巻に収録されていたので、どうしようか迷った挙句に買ったわけで、持ってるのがダブるのはすごく損した気がするんだよねえ。
.25 2006 スタートレック comment0 trackback1

NANA



2005年 日本
監督:大谷健太郎
出演:中島美嘉、宮崎あおい

 WOWOWでハイヴィジョンで放送されているものを、今見終わったところ。
 矢沢あいの漫画が原作の、去年話題になった映画。中島美嘉がロック歌手ナナを演じていてカッコいい。このナナと出会い友人になるカワイイが超うざい女の子奈々を宮崎あおいが好演している。
 まあ言うなればよくあるみっともない青春を描いた映画で、ストーリーはかなりご都合主義。だいたいバイトでがんばってる奈々にくらべ、ナナはどうやって生計を立ててるのやら。ロックミュージシャンに生活描写は要らないとでも言うのか?
 奈々のカレシ、ショージのエピソードもなんだかなあ。ふたまたかけるならもっとうまく立ち回れよなあ。
 中島美嘉のロックミュージシャンらしいやせ具合がいい。やっぱりロックミュージシャンはあのくらいガリガリに痩せていないと。

 なんだか続編も企画されているらしいのだが、宮崎あおいが奈々役をもうやりたくないのだそうで作られないかも知れない。
 そりゃそうだ。あんなバカ女の役やりたくないよね。しかも原作ではさらにバカさが加速するらしいし。

 いやー、それにしてもハイヴィジョンってすごい。
 劇場で見てるのとほとんど変わらない臨場感。いや、下手な劇場よりも解像度も色もいいかもしれない。何千円も出して買うDVDよりもはるかにキレイだし。
 映画ファンのあなた、DVD買うよりハイヴィジョンTV買ってWOWOWに入った方がいいですよ。
.23 2006 映画(日本) comment2 trackback0

ルイス・セプルベダ カモメに飛ぶことを教えた猫


 ハンブルグに住む黒猫ゾルバが昼寝をしていると、重油まみれになったメスのカモメが落ちてくる。ゾルバは瀕死のカモメがこれから産み落とそうとする卵について3つの厳粛な誓いをたてさせられる。
食べてはいけない。雛を育ててほしい。そして、雛に飛ぶことを教えてほしい、と。

 1時間そこそこで読んでしまった。短い童話のような作品で、楽しく、優しく、そして深い奥行きのある作品で心に残る。
 主人公の黒猫ゾルバがいい。飼い猫でありながら野良猫を一撃で撃退するワイルドな実力と、約束を守り通す誠実さをあわせ持つカッコいい、ちょっとハードボイルドな猫だ。ほかのハンブルグの猫の仲間たちもいい。港の猫のリーダー、「大佐」。その手下の「秘書」。百科事典を読む知恵者の「博士」船乗り猫の「向かい風」。みなキャラが立っていて魅力的である。
 彼らは卵を孵し、雛を守ることで団結し様々な困難に立ち向かう。博士の自慢の百科事典も卵の温め方や雛の育て方、さらにはカモメの飛び方などといった具体的なことには全く役に立たない。
 ゾルバたちは、フォルトゥナータと名づけられた雛に飛び方を教えようとしてさすがに行き詰ってしまうが…

 作者はチリ出身で、ピノチェト政権下で2年間投獄されていた経歴を持つ。その後開放された彼はドイツのハンブルグに居を定め、執筆活動を始めたらしい。
 この作品でゾルバはフォルトゥナータに「君が美しいカモメだからこそ愛しているんだ。君のおかげで僕たちは自分と違う者を認め、尊重し、愛することを知ったんだ。」と語る。
 人間社会は今、ゾルバの気持ちとは反対の方向へ向かっている。イスラエルで、イラクで、極東で。だから今こそこの本を読まないといけないのではないだろうか。

 …と、堅苦しい事は置いといても、これは全人類にお奨めしたい作品である。ヨーロッパでは「8歳から88歳までの若者に」というキャッチフレーズだったらしいが、全くその通り。ぜひ読んでほしい。
.19 2006 ねこの本 comment6 trackback1

大島弓子 夏のおわりのト短調


 これは「綿の国星」の単行本に収められていた短編5作を集めた作品集で、仮面家庭の崩壊と再生を描く表題作のほか「赤すいか黄すいか」「裏庭の柵を超えて」など独特の視点で描いたこの作者ならではの作品ばかりが並ぶ傑作集である。

 その中でも「たそがれは逢魔の時間」は私が読んだ中ではこの作家の最高傑作と言っていいと思う。ここではこの作品について述べようと思う。
 ストーリーは…劇ネタバレなのでネタバレOKの人は「続きを読む」をクリックしてください。
.18 2006 コミック comment0 trackback0

麻生芳伸:編 落語百選・夏


 前回読んだ「落語百選・春」に続く「夏」編。
 狸のとんちんかんな恩返し「狸賽」、鰻屋を始めた元武士の奮闘を描く「素人鰻」、長屋に借り手がつかないように幽霊話をでっち上げる「お化け長屋」、実際にあった渡し舟の転覆事故を題材にして人情噺にした「佃祭」など今回も25個のバラエティに富んだ噺の数々が紹介されていてとても興味深く、楽しい本である。
 ただし「たが屋」と言う噺はいただけなかった。非常に後味の悪い噺で、これはできれば外してもらいたかった。

 私は最後の「唐茄子屋」と言う噺が一番気に入った。これは放蕩三昧の若旦那が勘当され、唐茄子の行商をする事になる。唐茄子とはカボチャのことで、これを何十個も持たされて行商に出ればそれは大変だろう。めげそうになる若旦那は下町の情の厚い人々に助けられ何とか在庫を売り切るが、そこで事件に巻き込まれるという人情噺である。

 それにしても、これを読むと現代人が失ったものについて考えてしまう。下町の人情も、柳の下の幽霊も、放蕩息子を勘当する気骨ある経営者も、すべて現代日本からは失われてしまった。ここに描かれている江戸時代の人々はある意味、現代の我々よりもとても豊かだったのかもしれない。
.16 2006 日本文学 comment4 trackback0

プラズマTV買っちゃった

hitachi.jpg
 日立の37型プラズマTVが安かったのでとうとう買ってしまった。もちろん地上波デジタル、BSデジタルハイビジョン。
 ワールドカップが終わってしまって買っちゃうというのもちょっとアレですが…

 いままでMINMINが生まれた頃に買った…11年半だ…ブラウン管の28型ワイドTVで見ていたのだが、まあ倍くらいはでかい。画像もキレイである。私はWOWOWに加入しているので早速デジタルに移行したがWOWOWでは大抵の映画はハイヴィジョンで流れている。めちゃめちゃキレイである。8月6日にスターウォーズの一挙放送があるそうだが、ハイヴィジョンで観たら下手な劇場よりキレイかも。さらにスカパー2の無料体験にも申し込んだので、なにしろたくさんチャンネルが写る。

 で、この新しいTVではじめて観た映画は、MINMINが最近はまっているスタートレックの「叛乱」だった。ちょっと渋いチョイスだ。画面が大きいと言うのはスゴイ。映像に惹き込まれてしまう。持ってるDVDみんな観たくなってしまう。
 ただ私の地域はまだ地上波デジタルが始まっていないのだが、地上波アナログは画面が大きいぶん画質の荒いのが目立つ。デジタルのNHK-BS1、BS2はなぜかアナログの方がキレイ。

 さて皆さんはプラズマと液晶の違いって知ってますか?
お店で見ると液晶の方が明るいのでキレイに見えるんだが、夜部屋を暗くして映画を観たいというときに明るすぎる場合がある。液晶は階調表現や、反応速度の点でやや弱い。
 逆にプラズマは暗いので昼間明るいところで観るといまひとつ冴えない画像に見えるかもしれない。どっちを選ぶかはライフスタイルしだいだと思うので、購入を考えている人は目を惹かれた製品ではなく、自分のTVの視聴スタイルをよく考えて決めた方がいいと思う。
.13 2006 PC/家電/カメラ等 comment3 trackback0

capsule NEXUS-2060


 先日紹介したPerfumeがとても面白かったので、彼女らの作品をプロデュースしている中田ヤスタカ氏とボーカリストこしじまとしこのユニット、capsuleを聴いてみた。このグループはしばらく前にハウス食品のコマーシャルでジブリのアニメのBGMとして使われた「レトロメモリー」と言う曲がちょっと有名。「さよなら、さよなら、さあうちに帰ろ」と言うアノ曲である。

 今回聴いたのは2005年2月発売のアルバム「NEXUS-2060」。
 うーん。これも面白い。Perfumeほど強烈なテクノサウンドではない。生音っぽい音がたくさん聴こえてくる。(思うにPerfumeの方はファミコン風ゲームサウンドをイメージしているのだろう)SF的な道具立てとスピード感あふれるサウンドにキュートなこしじま氏のボーカルと歌詞が乗る、レトロでノスタルジックな、それでいてSFチックな音楽。このアルバムは10曲入りだが、1曲目と4曲目はナレーションだけなので実質8曲しか入っていないのはちょっと不満だが、内容は濃い。

 「beautiful hour」でヨーロッパ映画のサントラみたいなスタイリッシュなインストゥルメンタルを聞かせるかと思えば「Lacky Love」のようなキュートさ全開のナンバーもありと、振幅の広いアルバムだがそれでも不思議と統一感のある作品になっているところが面白い。最後の「Tokyo Smiling」はSFから地面に戻ってきた感じがあるウインター・ソング。なんだかホッとさせてアルバムを終える構成もうまい。

 とても才気を感じる、お洒落でカッコいいアルバムだと思う。もっと注目されるべきだ。
.11 2006 J-POP comment0 trackback0

ジョルジュ・バタイユ 青空


 私の大好きなクレーの「いにしえの響き」のカヴァー。このカヴァーでなければ多分手に取らなかったと思う。
 バタイユは私は寡聞にして全く知らなかったが、フランスの小説家と言うよりも思想家として有名な人物で、たくさんの本が翻訳され現在も売られている。この「青空」(河出文庫からは別の人の訳で「空の青み」のタイトルで出ている)は1935年に書かれた中篇小説で、バタイユの作品の中ではめずらしいくらい普通っぽい小説なのだそうだ。
 とはいえかなり独特な小説で、15ページほどのプロローグのあと、2ページだけの「第1部」、残る180ページが「第2部」。さらに「第2部」は5つの章に分かれていると言う異常な構造を持っている。

 主人公(アンリという名前らしい)はのんだくれである。彼の周りには三人の女がいる。ドロテア(ダーティ)は飲み仲間のエキセントリックな女。ちっとも魅力的でないが革命に燃えているラザール。そして貧相だが献身的なグゼニー。飲みすぎで死線をさまよってグゼニーに世話になったあと、なぜかバルセロナへ赴く主人公はそこで内戦が始まるところを見る事になる。

 …と書くとなんだか社会性の強い作品みたいだが、そうではない。社会の不安はもちろん主人公の心に影を落としてはいるが、主人公は内戦がどうなろうが、そんなことにはほとんど興味がない。彼にとって興味があることは「死」である。戦争も酒びたりの日々も、セックスもすべて「死」のイメージに侵されている。最後のほうで主人公はドロテアとセックスするがそのシーンですらすべて死のイメージの比喩で語られるのだ。

 原題「LE BLEU DU CIEL」は直訳すると「空の青」。物語の後半でスペインに到着するグゼニーを迎えに行く前に立ちよった海岸で海に浸かってぷかぷか水面に浮かびながら主人公は空の青さを見上げる。空は広く、純粋だった。
 この平和で美的なイメージと、先に述べた「死」のイメージの対比が際立っている。そして終章、物語は戦争への予兆の真っ黒なイメージに塗り固められるようにして終わる。

 バタイユ自身この作品の戦争直前のぴりぴりした雰囲気があまり好みでなかったのか20年くらいお蔵入りだったそうだ。
 どう捉えていいのか、にわかには理解しがたい小説である。この作家の哲学がどんなものなのかよくわかっていない私にはとてもこの作品が理解できたとは思えない。ほかの本を読んでみた方がいいのだろうか?
.09 2006 フランス文学 comment0 trackback0

レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード


ONCE UPON A TIME IN MEXICO
2003年 米

監督:ロバート・ロドリゲス
出演:アントニオ・バンデラス
サルマ・ハエック
ジョニー・デップ

クーデターに揺れるメキシコ。 任務を利用し私腹をこやそうと企むCIA捜査官サンズ(デップ)は、伝説の腕利きガンマン“エル・マリアッチ”(バンデラス)に告げる。『マルケス将軍が大統領を殺す。その後、マルケスを殺せ。』 マルケスはエル・マリアッチの仇敵であった…

 あのハチャメチャ振りが話題になった「デスペラード」の、ジョニー・デップを迎えて送る続編。 実はDVDを手に入れたまま2年近くも見ていなかった。何しろ前作のとてつもない暑苦しさを考えるとなかなか見ようという気にならなかったのだ。
 で、やっと見た感想は…
「な~んだ、大して暑苦しくないじゃん。」
 今回はなかなかスタイリッシュな出来で、前作のむせ返るようなメキシコの濃さ・暑苦しさは減退。アクションとしては相変わらずハチャメチャで、そんなに撃たれてなんで当たんないの?などとMINMINみたいなことを言ってはいけない。だって主役だから。主役には弾は当たらない、当たっても死にやしないのさ。しかしアクションも前作に比べるとややトーンダウンかな、と言う気がした。
 それにしてもいつもながらロドリゲス・ファミリー総出演で、大抵の脇役は「デスペラード」や「スパイキッズ・シリーズ」で見かけたような…

 ジョニー・デップはすんごい悪い奴の役だった筈なんだけど、話が進むと敵役のウィレム・デフォーの方がワルとして一枚上手で、だんだん追い詰められていく。最後は正義の味方みたいになっちゃってなんだか拍子抜け。
 目が見えなくなった彼を助ける黄色いシャツの男の子がいい味出している。
.07 2006 映画(ハリウッド) comment0 trackback0

梅雨の合間に


 ここのところ雨ばかりでなかなかねこたちも見かけない。
きょうはひさびさにまあまあの天気で、のらさんたちに遭遇する事ができたので携帯でパチリ。
暑いので子猫たちもなんだかしんどそうである。

↓木戸から顔だけ出しているこの黒猫が上の子猫たちの父親らしい。


.06 2006 ねこ comment2 trackback0

大島弓子 綿の国星


  高校の時、友人が読んでいたのを借りてファンになった。
 たしか単行本は7巻まで出て、「綿の国星」シリーズ以外の作品も多数収録されていた。だから単行本を7巻すべて持っていると大島弓子の全盛期の作品を堪能できた。
 「綿の国星」シリーズはもちろん素晴らしい名作なのだが、単行本に収録されていた「たそがれは逢魔の時間」や映画化もされた「金髪の草原」などはいまだに心に残る名作である。私は大学時代に7巻まで持っていたのだがその後の時の流れの中でそれらの本を失ってしまった。

 で、この間文庫版を見つけて買ってきた。この文庫版は「綿の国星」シリーズのみが収録された全4巻。私が買ってきたのは第3巻までである。ちなみに第4巻には単行本に収録されなかったエピソードが収録されているらしい。

 「綿の国星」というマンガは、1978年から不定期に雑誌「LaLa」に掲載された。いまさら私が内容を述べるまでもないとは思うが、生後2ヶ月のメスの子猫「チビ猫」が主人公で、彼女がある日時夫という青年に拾われたところからはじまり、子猫の曇りのない瞳で見た人間と猫たちの日常を淡々と描いて行く作品である。特殊なのは猫がすべて擬人化して…要するに人の姿で描かれる点である。
 すべての登場猫物は(猫耳の)人の姿をして現れるのだが、読んでいて混乱したりする事はない。猫としてのアイデンティティがきわめて巧みに描かれているからである。
 
 この作者の凄いところは、すごくかいつまんで言うと日常の風景や出来事を独自の視点で見せる、というところにあるのだが…ってかいつまみすぎなのはわかっているがうまい表現の仕方がわからない…この作品では視点をチビ猫の無垢な瞳に託す事で浄化された世界が(ところどころにチビ猫には見えない暗闇を感じさせながら)広がる。
 「シルク・ムーン・プチ・ロード」に出てくる鈴木ブチ猫が語る、チビにそっくりな妹パウダーは、この作品の冒頭でお母さんが目撃する子猫であることがほのめかされ、その時には死んでいるのだが、作中でチビもブチ猫もパウダーが死んだことなど知る事はない。こう言う仄暗さも大島作品の魅力なのだ。
 そしてマンガという表現方法でありながら映画的なフェードイン・フェードアウトの絶妙な使い方、物語の伸縮自在のテンポ、そして独特の詩的なモノローグ。すべてが極めて高いレヴェルにある。その後のマンガやサブカルチャーに与えた影響は計り知れない。チビ猫は今大はやりの猫耳キャラの元祖ともいえるだろう。

 他の作品もまた読んでみたいなあ。どうやら大抵の作品が文庫化されているようだが。
.05 2006 ねこの本 comment0 trackback0

Perfume


 ある日CSの音楽チャンネルで流れているのを見て気になったグループ。Perfumeは広島出身の10代の女の子3人組の、一見アイドルグループなのだが、capsuleの中田ヤスタカというヒトのプロデュースでやっている音楽がスゴイ。
 もはや絶滅したと思われた、YMOを思わせるテクノサウンドなのだ。80年代のテクノサウンドを現代的にシェイプアップした確信犯的サウンドに3人のふわふわしたボーカルが乗るヘンで、一度聴いたら忘れられない世界。
 これまでにメジャーで3枚のシングル「リニアモーターガール」「コンピューターシティ」それと先月発売の「エレクトロワールド」を出しているがどれもはっきり言って売れていない。だってこの記事を読むまで全然知らなかったヒトが多いでしょ?
 でもこの人たちの音楽はとても面白い。昔見たSF映画に描かれた、実現しなかった未来の光景のようなイメージである。テクノ音楽好きだった人、YMOもそうだが、PSYSなんか好きだった人にもお奨め。
 一部ではアキバ系アイドルとしての知名度が高いらしい。でもちゃんとプロモーションして一般の人にも一種のキワモノとして認知してほしいなあ。「リニアモーターガール」など聴いていると一種の快感を覚える。インディーズ時代には「ジェニーはご機嫌ななめ」を歌ったりしている。ちょっとロリロリだがオリジナルよりもさっぱりしていて魅力的。

 ちなみにうちの小学生MINMINもすごく面白がって聴いていた。「マリオの音楽みたい」だそうだ。
オフィシャルHPはこちら。新曲がループで流れるので注意。
.03 2006 J-POP comment0 trackback0

スタートレック・ボイジャー/時空侵略戦争


「スタートレック・ベストエピソード・コレクション」の第3巻に収録のエピソード。前後編なので一挙に観ると90分くらいある。映画みたいなボリュームだ。
物語はジェインウェイ艦長率いるUSSボイジャーがクレニム帝国の領域で戦争に巻き込まれる。クレニムの兵器はボイジャーの防御スクリーンを貫通しボイジャーは打撃を受ける。
 一方クレニムのアノラックスは時空侵略兵器というものを実用化していて、これは時間を操作する事で文明を一瞬で消し去る恐るべき兵器なのだが、計算を誤ると因果律によって予期しない結果を招くのだ。アノラックスはこれを使って宿敵を消し去ったのだが、同時に自分の最愛の妻をも消し去ってしまったのだった。これを修正するために時空侵略を繰り返すアノラックスだったが、計算とちがう結果を生じた要因が外からやってきたボイジャーだという事に気づく。
 手傷を負ったボイジャーとアノラックスの時空侵略艦の対決の時が迫る…

 いやー、すごい。TVシリーズでこの内容の篤さはどうだろう。そのまま劇場にかけてもよさそうだ。ボイジャーはボロボロになるし、バルカン人クルーのトヴォックは失明しちゃうし、ジェインウェイは顔に火傷を負う。一体どうなるの…と思ったらやっぱりこのオチだった。どんなオチかはあえて言わないが。

 この「ボイジャー」(VGR)は…私はまだ二本しか観ていないのであまり断定的なことはいえないが…「ネクスト・ジェネレーション」(TNG)などに比べてもハードSF色が濃いような気がする。TNGのなんだか理屈っぽいところが苦手な人にはおすすめ。
 女性艦長のジェインウェイ艦長も最初は「何だこのおばさん」と思って見ているうちになんだかカッコよく見えてくる。そういえば日本にはこんなカッコいいおばさんが少ないよねえ。

 とにかくこのエピソードは面白い。「スタートレック・ベストエピソード・コレクション」は本屋さんで売ってる(1990円)のでぜひ買って観よう。
 ちなみにもう一本「ディープ・スペース・ナイン」(DS9)の「二人のキラ」というエピソードが入っている。これはDS9のクルーの一人キラがパラレルワールドに入り込む話だが、こちらは私がDS9になじみがない分いまいち楽しめなかった。
.02 2006 スタートレック comment1 trackback0
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