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こなみかなた チーズスイートホーム


 「よつばと!」に続いてMINMINがいつもの鋭い嗅覚で発見したねこマンガ。ほんとに彼女はこういうのをよく見つけてくる。
 親猫とはぐれて迷子になった仔猫は山田家のお母さんに拾われる。山田家の息子のヨーヘイと仲良しになった仔猫は「チー」と名前をつけられる。ところが山田家のマンションは猫を飼ってはいけないのだった…

 ねこマンガというと往年の傑作、大島弓子の「綿の国星」、小林まこと「What'sマイケル」あたりが印象に残っているが、「綿の国星」はねこをすべて擬人化した大島弓子ならではのファンタジーの世界であったし、「What'sマイケル」はよりマンガチックなねこキャラクターの面白さが売りだった。
 これに対し本作はよりリアルな仔猫の生活を描いていて、ねこ好きの読者なら誰でも経験のある出来事を積み重ねて行く。そこにチーの気持ちを数行だけネームで補うというスタイルで物語を進めていく。それがそこはかとないおかしみを感じたり、こんなことあるある、とねこ好きの共感を呼ぶのだ。

 一見まるで子供の落書きみたいな素朴な絵(ちょっと坂田靖子ふう?)が物語ののんびりムードとマッチしていていい。単行本はオールカラー。
ねこ好き必携の作品。
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.29 2006 ねこの本 comment4 trackback0

いきものがかり SAKURA

 RINRINがTUTAYAから何枚か借りてきたCDのなかの一枚。
「いきものがかり」はこの春このシングル「SAKURA」でデビューした三人組で、この曲がDENPO115の東日本エリアのCMソングになり、しかもそのCMがワールド・ベースボール・クラシック決勝戦の中継時にヘビー・ローテーションで流れて話題爆発したというラッキーなグループである。
↓「いきものがかり」の三人。三人とも20代前半だそうだ。
ikimonogakari.jpg
で、なかなかいい曲だな、と思っていたら、このシングルの三曲めになんと荒井由実の「卒業写真」のカヴァーが入っているではないか!
 ユーミンの超有名曲をカヴァーしちまうなんてなかなかの度胸だ。しかもコレがまたなかなかいい。素直に歌っていて好感が持てるが、ちゃんと自分達のサウンドにしているところは立派。
 ヴォーカルの女の子(吉岡聖恵というらしい)の声はちょっとかすれた感じで、UAみたいな感じだ。グループとしてのサウンドもなんだか一風変わっていて面白い。

 それにしても、デヴュー作でありながらかなり完成度が高い。インディーズでキャリアを積んできたからでもあろうが、実はaikoをはじめて聴いた時も同じような印象を受けた。aikoがデビューして1年半、シングルで言うと「桜の時」あたりをピークに、その後はクリシェに落ち込んでいったのを思うと、この人たちもこのクオリティを維持できるのか、もっと上げていけるのか、それとも別な音楽的な引き出しが用意されているのか、そこが出入りの激しいJ-POP界で生き残るカギになるだろう。

 それにしても今日TUTAYAに行って思ったのは、なんだかワケのわかんない歌手のCD多いな~って事である。CDがあんまり売れない昨今だから何でもいいから売っちゃえみたいなレコード会社の打算を強く感じる。
 あんまりたくさんCD出すと、この人たちみたいな本当に才能のありそうな人たちが埋没してしまいそうな気もする。実際冒頭で述べたラッキーがなければこの作品も私の耳に入らなかっただろうし…
.28 2006 J-POP comment0 trackback0

安彦良和 機動戦士ガンダムThe Origin 第12巻


 第12巻では一年戦争開戦直前のエピソードが描かれている。シャアは地球でララァと出会い、初めて自分のニュータイプとしての能力の発現を実感する。一方、月ではミノフスキー博士を亡命させようとする連邦と阻止しようとするジオンが衝突、初のモビルスーツ戦へと発展する。5機のザクと12機のガンキャノン隊が衝突するがジオンの圧勝に終わりミノフスキー博士も死亡する。
 テム・レイはガンキャノンではザクに勝てない事を思い知らされ、新機軸を盛り込んだモビルスーツ、ガンダムを構想する。
 モビルスーツの性能に自信を得、ジオンはついに連邦に対し宣戦布告する…

 と、いうわけで今日発売のガンダムThe Origin第12巻、昨年末に発売された第11巻がちょっと地味な内容だったのを補うように派手な内容である。

 ララァがインド出身だった事が(そうじゃないかとは皆思っていただろうが)わかったり、何よりこの作品のおかげでアニメではなんだかよくわからなかったララァという人物に深みが出た。でもシャアはあのモビル・ワーカー、ちゃんとカントクに返したのかなあ
 月でのモビルスーツ戦はジオン軍のメンバーがなんとランバ・ラル、シャア、それに黒い三連星という夢の最強クインテットである。そりゃガンキャノン12機、秒殺されても不思議はないでしょ、という感じである。ランバ・ラルの機体は他の4人のザクとは違うのだが、やっぱり「ザクとは違うのだよ」なのだろうか。この惨敗を機に早くもテム・レイ技官はガンダムのプロジェクトを開始するのである。
 そして読者は開戦のニュースを、まだこの物語の主役でない、一市民としてのアムロやフラウと一緒に聞く事になる。ここは見事な演出。

 さて次の巻では「ルウム編」悲惨な一年戦争の実態が描かれる。このペースなら夏ごろには読めるか。
.26 2006 コミック comment0 trackback0

私の頭の中の消しゴム


2004年 韓国
出演: チョン・ウソン、ソン・イェジン
監督: イ・ジェハン

 DVDでやっと観た。内容を聞いて病気モノの映画が苦手な妻のまゆまゆが「私のいないときに観て」というものだから、なかなか観る時がなかった。

 社長令嬢のスジン(ソン)が、偶然出会った建築家の卵、チョルス(チョン)への想いを高めていく。父の反対にもめげず、チョルスと結婚したスジンだが、彼女は若年性のアルツハイマーだと宣告される。

 韓国映画のメロドラマの王道を押さえた、ちょっと大袈裟な展開、キャラの際立った主役の2人、そして名人芸的な「泣かせ」。韓流ブームのエッセンスをすべて詰め込んだような映画である。
 主演の2人、「武士」のチョン・ウソンと「ラブ・ストーリー」「四月の雪」のソン・イェジンが素晴らしい。美男、美女であるのはもちろんだが、いつもながら最高の演技。韓国映画の俳優はどの人も俳優としてのレヴェルが非常に高いと思う。

 映画全体としてはかなり作り物っぽい部分(特に前半)もあるし、物語の、そしてヒロインの病気の進行のあまりの速さにもちょっと面食らうが、そういうことは全部どうでもいい。すべての記憶を少しづつ失っていくという恐怖と悲しさが見る者の胸を打つ作品。
 何の希望もなく悲しい、しかし美しいラストシーンが心に残る。

 ただし、チョルスがスジンの昔の恋人を殴打するシーン。あれは必要なかった。チョルスは荒っぽい男であっても乱暴な男であってはならないと思う。
.24 2006 映画(欧州・アジア) comment0 trackback0

イアン・マキューアン アムステルダム


 作者のマキューアンはイギリス人で、この作品の前に7作の長編を出しているらしい。これは98年のブッカー賞もとった作品で、邦訳は新潮社から、先に紹介したシュリンク「朗読者」ブローディガンの「アメリカの鱒釣り」などと同じシリーズ(「新しい海外文学」シリーズ)で出ていたので多分とても斬新な作品か、とても深い内容を持っているのかと期待して読んでみた。以下ネタバレあり。かなりキツイ事書くので、この作品のファンの方はゴメンナサイ。

 結論から言うと、期待はずれだった。
 あのラストに至るクライヴとヴァーノンの心の動きが全く理解できない。それぞれに起こった事件は確かに人生の一大事には違いないが、お互いに殺意を抱くほどのものではない。現代人の閉塞した人間関係やモラルを描こうとする意図はわからないでもないが、きっかけの出来事と結果の事件があまりにも不釣合いな気がして、どうしてもとってつけたような印象の終わり方に見えてしまう。
 ところが「あとがき」を読むとこのラストははじめから規定路線だったようだ。そうなるとなおさらこの作家の作家としての能力を疑わずにはいられない。このラストを生かした小説にするにはこの作品は長すぎた。三分の一の長さの短編ならこのラストでもいいのだろうけど。

 さらにエピローグとして、敵役の2人(ジョージとガーモニー)が語り合うシーンがあるが、まるでこの2人がクライヴとヴァーノンを嵌めたような印象を与える。よく考えるとジョージとガーモニーの2人も敵対しているわけで、そんなはずはないのだ。作者はわざと間違った印象を読者に与えようとして紛らわしい事を書いてみただけに違いない。このシーンがあることでこの作品はさらに品位を下げて終わりを迎えることになってしまった。
 作曲家のクライヴ・リンリーが自作の交響曲のフィナーレがどうしてもうまく出来ずに悩むのだが、この作家は主人公に悩ませるよりも自分で、この終わり方でいいのか悩むべきだったと思う。

 同じ現代の作品なのに、ガルシア・マルケスやカルヴィーノの作品とはレヴェルが全く違う。マキューアンはガルシア・マルケスの足元にも及ばないと言っていい。
少なくとも私にとっては読む価値をまったく見出せない作品で、時間の無駄であった。
.23 2006 英文学 comment2 trackback0

麻生芳伸:編 落語百選・春


 くろにゃんこさんのブログで講談社学術文庫の「古典落語」が取り上げられていて、面白そうだと思い本屋で探したらなくて、そのかわりちくま文庫のこの本を見つけた。「百選」「春」と言うだけあって全部で100編の落語が、それぞれの季節にふさわしい25編づつ四冊に収録されている。
 「たらちね」「饅頭こわい」「あたま山」といった有名作から全く私が知らない作品まで(と言っても私自身ほとんど落語の知識はないのだが)堪能できるすばらしい本である。

 金はないが花見気分だけは味わおうと長屋一同で花見に出かける、春らしい「長屋の花見」、大岡越前守が活躍する「三方一両損」「大工調べ」、恋の病で倒れてしまった若旦那に代わってお相手の娘を探す羽目になった熊さんの悪戦苦闘を描く「崇徳院」、花見で羽目をはずしているのを主人に見られた普段は真面目な番頭の人情噺「百年目」など、どれも江戸時代の風物と人情を描き出してとても楽しい。特に私が気に入ったのは「猫の皿」という短い噺。とてもひねりが効いていてニヤリとさせる。

 落語自体ほとんど聞いた事がない私だが、どの作品も声に出して読みたくなるリズミカルな調子を持っている。しかし実際に読むならばやはり噺家の名人芸がなければ表現するのはとても難しいのだろう。
 他の三冊も読むのが楽しみになった。
.21 2006 日本文学 comment4 trackback0

辻邦生 夏の海の色(ある生涯の七つの場所2)


辻邦生の連作短編「ある生涯の七つの場所」の第2集で、以前レヴューした「霧の聖マリ」の続き。この連作短編の全体としてのイメージは前回のレヴューを読んでもらうと大体わかるとは思うが、この第2集「夏の海の色」では引き続き「赤い場所からの挿話」「黄いろい場所からの挿話」が、交互に語られる。
 さて今回読んでいて初めて、「赤」の主人公の少年と「黄」でヨーロッパを転々としながら恋人エマニュエルと暮らす男が同一人物である事を実感した。解説を見ても、いや「ある生涯の七つの場所」というタイトルからもその事は自明のはずなのに。といってもそれぞれの作品にはつながりは薄いし、「赤」と「黄」の間にはかなりの隔たりがあるのだが。

 作品はどれも静謐で美しい。とても美しい日本語で書かれた作品である。普段翻訳物ばかり読んでいる私としてはこの日本語の美しさがとても新鮮である。なにかこう独特の湿り気と香気を含んだとても素晴らしい文章で書かれた作品である。
 単独の短編としては過去を持つ女性と少年のふれあいを描く表題作「夏の海の色」が出色の作品。
 ミステリ風の「泉」、「凍った日々」などが印象に残ったが、概して少年時代を描いた「赤」のシリーズにノスタルジックな魅力を感じる。どれもとても味わい深い作品なのでゆっくり読んで欲しい。(といいながらやたらに早読みの私だった)
 次の第3集では「赤」「黄」が終わって「橙」「緑」が始まる。
 ちなみに私の読んでいるハードカヴァーと、中公文庫版とは構成が違う。ハードカヴァーは8冊、文庫は7冊なので、注意が必要。
.19 2006 日本文学 comment4 trackback0

小惑星探査船ドーン

一度中止になった小惑星探査船ドーンの計画が復活、2007年夏の打ち上げの予定だそうだ。

 これは小惑星の中でも最も大きいふたつの天体、ヴェスタ(直径500km)とセレス(直径930Km)を調査するものである。
 これまで小惑星はエロスやアイダ、ガスプラなどの小さな天体が、ガリレオやニア・シューメーカーなどの探査機によって調査されている。わが国の「はやぶさ」によるイトカワの探査は記憶に新しい。
 ヴェスタとセレスは今までに調査された小惑星とはかなり性格の異なる小惑星である。イトカワやガスプラなどは不定形だったが、セレスは球体であることがわかっている。またセレスとヴェスタのふたつもかなり性格の違う天体らしい。

 セレス(Ceres)は1801年、ギュゼッペ・ピアッツイにより史上初めて発見された直径930kmの、小惑星帯では最大の小惑星である。その質量は、小惑星帯に存在する全小惑星の約三分の一に相当すると推定されている。自転周期は約9時間、太陽光の反射率(アルベド)は9%に過ぎない。これまでのスペクトル観測では、表面は全体的に灰色で、地球に飛来する炭素質の隕石に似ていると推定されている。
 ヴェスタ(Vesta)は1802 年、ハインリッヒ・オールバースにより4番目に発見された大きさが3番目の小惑星(直径500km)で、小惑星帯の中では最も明るく、そのアルベドは 25%に達する。自転周期は5.43時間で、スペクトル観測から表面は一様でないと推定されている。
 ドーンは2007年7月打ち上げ、2011年10月に小惑星ヴェスタに接近、調査を行なう。2012年5月にヴェスタの軌道を離れたドーンは、2015年8月にセレスの周回軌道に到着する予定。(この部分は日本惑星協会の記事より転載しました)
下は予定図(ただし当初予定の日付なので2006年の打ち上げになっている)。
dawn_traject.jpg

 またまた気の長いミッションであるが、セレスなどはこれまで不思議と注目されていなかった天体なので、このミッションで詳しい画像が見れるかと思うと楽しみである。
 でも冥王星よりもずうっと近くの天体なのに、なんでニュー・ホライズンズと同じ10年もかかるんだろうか。
ドーンのHPはこちら
.18 2006 宇宙 comment0 trackback0

届きました


ガルシア・マルケスの「十二の遍歴の物語」と「迷宮の将軍」が今日届いた。
また「百年の孤独」を読む日が遠くなった。
.16 2006 本についての雑記 comment2 trackback0

ウイリアム・シェイクスピア お気に召すまま


「今年はシェイクスピアを読もう!」と心に誓っているわけだが、第8弾は「お気に召すまま」。これはオーランドーとロザリンドの恋を中心に何組かの恋人達の物語を平行して描いていて、シェイクスピアの喜劇としてはかなり典型的な内容といえるかも。喜劇で一冊どれを読んだらいいかと聞かれたらこれを薦めるかも。

 全体を支配するトーンが、晩年の浪漫劇(「あらし」など)に近い印象がある。前回読んだ「ヴェニスの商人」のシャイロックのような強力なキャラクターはいないがそのぶん全体にやわらかいソフトなイメージが流れている(とはいえ横暴な侯爵の弟やオーランドーの兄などの悪役はいるわけだが)。
 作品としてはこれはシェイクスピアの喜劇時代の最後、あるいは悲劇時代の最初に書かれたものらしく、彼の作風は四大悲劇の後、浪漫劇のスタイルの喜劇に収束していくわけで、そういう意味での位置づけからも結構重要な作品なのかもしれない。

 この作品にとどまらずシェイクスピア喜劇に登場する女性達はみなとても聡明で行動力があるのだが、この作品のロザリンドは横暴な叔父のもとから(追放されたとはいえ)逃げ出して男装し、男として様々な人々と渡り合うのである。シェイクスピア劇を読んで、観てちっとも古く感じないのは、この女性達の描かれ方が現代的だからなのだろう。
.14 2006 シェイクスピア comment0 trackback0

意外と小さい?第10惑星


 NASAのHPによると、第10惑星「XENA」は、冥王星より約30パーセント大きいと当初言われていたが、ハッブル宇宙望遠鏡で詳しく調べたところ、これよりもやや小さく、1490マイル(約2400km)(60マイルの誤差がある)と発表した。ハッブルの計測による冥王星の直径は1422マイル(約2300Km)。
 これは第10惑星「XENA」が当初考えられていたより白く、反射率(アルベド)の値が高かった、ということらしい。やはり雪球天体なのだろうか。
 そうすると第10惑星は冥王星とほぼ同じ大きさということになる。ちょっと拍子抜けのニュースである。惑星として認定されるかどうかもかなり微妙になったかもしれない。
 詳しくはNASAのHPの詳細記事にて。もちろん英語のページです。

当ブログでの第10惑星関連記事
「第10惑星」 2005年7月30日
「第10惑星に衛星」 2005年10月3日
「第10惑星・続報」 2006年2月7日
.13 2006 宇宙 comment2 trackback0

のらねこ写真家失格


私はどうやらのらねこ写真家失格らしい。
ねこに好かれすぎるのだ。
このミケちゃんも初対面の私にやたらにゴロゴロすり寄ってくるので、まともに撮れたのはこの後姿だけ。トホホ。
.13 2006 ねこ comment2 trackback0

カレル・チャペック 山椒魚戦争


 「ロボット」という名称を考案した事でも有名なチェコの作家カレル・チャペックの、1936年に書かれた大作。

 ヴァン・トフ船長は南海のタナ・マサ島で高い知能と器用な手を持つ山椒魚を見つけ、彼らに真珠とりを教える。
だんだん器用になった彼らは、やがて大企業の人々の思惑から世界中に労働力として売られるようになる、やがて力を持つようになり世界を蹂躙するに至る、という物語なのだが、まずこれが戦前に書かれたということがすごい。ウエルズの「宇宙戦争」は現代の戦争の悲惨さを先取りした作品として印象的だったが、この作品は差別、搾取といった問題についてはもとより、資本主義が陥る効率主義とそれによって引き起こされる環境破壊について示唆しており、その慧眼には恐れ入るとしか言いようがない。

 そして、作品中の山椒魚たちがいかに発展して言ったかを文献を基にして(もちろん文献もフィクション)100ページを費やして描く第2部は圧巻。レムの作品(「ソラリス」や「泰平ヨンの現場検証」など)でよく見かける手法で、レムの原型はこれだったのだと納得。

 作品としても非常にうまく書けた作品で、特定の主人公を置かず、そのシーンごとに違う主人公が登場する第1部、ルポルタージュ風の第3部、そして全編を通じて狂言廻しを演じるポヴォンドラ氏が、それぞれの時点でのそれぞれの視点で山椒魚たちを語る描き方は非常にスマートで現代的である。

 古い作品だが全く古びていない名作である。
ただし戦前に書かれた作品なので、第2次大戦もホロコーストも冷戦も起こっていないし、アメリカでは黒人が人間扱いされていなかったことを頭に入れて読んだほうがいいだろう。
 文庫で400ページという大作で、かなり重いテーマを持つ作品だが、非常に読みやすく、私は今日休みだったこともあるが一日で読んでしまった。
.12 2006 SF comment6 trackback0

ガルシア・マルケス 愛その他の悪霊について


 侯爵の娘シエルバ・マリアが狂犬病の犬に噛みつかれた。元々奔放だった娘は、これを機に悪霊に取り憑かれたと誤解される。信仰心に目覚めた侯爵は、療養と称して彼女を修道院に入れる。悪魔祓いを行うために派遣された神父カエターノはシエルバ・マリアに惹かれはじめる。

 これはガルシア・マルケスの1994年発表の作品で、今日本語で読める彼の作品の中でも一番最近の作品といえるようだ。
 リアルな描写と豊かな幻想性とが同居した独特の語り口は相変わらず冴え渡っている。特にこの作品は「予告された殺人の記録」と同様のリアルなルポルタージュ風の印象と、「エレンディラ」の幻想性がうまく溶け合った作品だと思う。ただし長くなった分「予告された殺人の記録」ほどの凄みはなかったかな、とも思う。

 とにかくこの物語も他のガルシア・マルケス作品同様不条理の連続である。なぜ公爵はあんなに簡単に娘を修道院に引き渡すのか? 悪魔憑きである事を教会はどうやって認定するのか? ここで起こる不条理はすべて迷信深い昔の村社会に現実にあった(ひょっとしたら現在もどこかにある)物で、その流れに飲まれたらカエターノや、侯爵ですらもはや抗う事は出来ないのである。
 そしてその流れに飲み込まれた人々の、醜い、あるいは美しいありようをストレートに描いた、とてもこの作家らしい作品である。

 ところでこの作品の一番の謎はそのタイトル(原題は「Del amor y otros demonios」)かもしれない。「愛」は「悪霊」のひとつなのだろうか? だとしたら、それでは「その他の悪霊」とは何なのだろう。domonioは英語のdemonだから「悪魔」と訳してもいいのだろうか。
 解釈の難しいタイトルである。
.10 2006 中・南米文学 comment6 trackback0

あの~、通ってもいいでしょうか



 この写真はMINMINが撮影しました
.07 2006 ねこ comment3 trackback0

イタロ・カルヴィーノ 見えない都市


 マルコ・ポーロがフビライに語る様々な都市の記憶。語るうちに記憶は錯綜し曖昧になり、それはいったいどの都市について述べているのか、聞き手はもとより語り手にも判然としなくなってくる。

 この作品は独特の構成を持っていて、マルコの語る55の都市の記憶を9章に分けて、章の前と後ろにはマルコとフビライの会話が置かれている。それぞれの都市について述べた55の部分は「都市と記憶」「都市と欲望」などの11の副題がつけられ、同じ副題を持つ5つの部分が隣り合うことなく順番に現れる。
 と、言うと何か小難しい作品のように聞こえるが、読んでみると文章自体は難しくはない。しかしこれははたして小説と呼べるのだろうか?
 小説のような、報告書のような、あるいは散文で書かれた詩のような、独特の作品である。感触は違うが先日読んだブローティガンの「アメリカの鱒釣り」に共通する、詩的な散文作品と言えそうだ。

 それにしても果たしてマルコはどの時代のどの都市を旅したのだろう。ドロテーアの町にはアルミニウムの塔があるし、デスピーナという港町には蒸気船が、トルーデには空港があるのだ。
 これはマルコ・ポーロの名を借りてカルヴィーノが語る現代都市論なのだろうか。マルコが語れば語るほど、各々の都市はその独自性を失い、一般的な都市論へと近づいていく。

 第9章の冒頭、マルコはフビライが持つ地図帳を見て、ジェリコ、カルタゴ、トロイアなどに思いをはせているうちに、まだ存在しないサン・フランシスコという都市と、そこの湾に懸かる巨大な金門橋を、その坂の町を走る路面電車を幻視する。
 さらには「二つの川のあいだに挟まれた細長い島の上にガラスと鋼鉄の塔がひしめき合う」ニュー・ヨークなどの都市の形を明らかにする。形があらゆる変化を試み尽くして、都市の終末が始まる。「地図帳の最後の数ページでは、初めも終わりもない網の目が、ロサンジェルスが、京都、大阪の形をした都市が、形もなく溶けだし」ていくのだ。そしてラストで、最後の到達点が地獄の都市ならば都市を探すのは無意味だというフビライに答えて、マルコは断言する。この世こそ地獄である、と。

 すごく興味深い本だった。といっても、どれくらい理解できただろうか。とても疑問である。もう一度読まないといけない本だろうと思う。
 しかしこの本は、思索するのが好きな人にしか勧められない。一般の人は間違いなく途中で放り出すだろう。思索が好きな人には一生ものの名作かもしれないが。
.05 2006 イタリア文学 comment6 trackback2

浦沢直樹 プルートウ03


 手塚治虫の「鉄腕アトム」の中のエピソード、「地上最大のロボット」を下敷きにした浦沢直樹によるリメイク作の第3弾。雑誌掲載が月間ペースなので、10ヶ月ぶりの発売である。
 今度の巻ではウランが大活躍。プルートウもその片鱗を見せつつある。それにしても、見せそうで見せないところが浦沢作品のうまいところで、どんどん引き込まれてしまう。原作の展開的に中だるみしてもおかしくない所をうまく見せてくれるところはさすが。
 最強のロボットでありながら平和主義者のエプシロンもついに登場。原作の優しいイメージとはちょっと違う、クールな平和主義者だ。

 連載の方が意外な展開を見せていることもあって、早く次読みたい。毎回新しい巻が出るたびそう思う作品である。

 なおこの作品には通常版と、写真のA4サイズの豪華版があり、私は豪華版のほうを買っている。2巻の時に通常版が売り切れていて豪華版を買わざるを得なかったのだ。
 豪華版は大判なだけでなく、連載時のカラーページが再現されているのだが、今回は連載時に白黒だったあるページがカラー化されていて度肝を抜かれた。ぜひ豪華版を一度読んでみて欲しい。
.04 2006 コミック comment2 trackback0

フランツ・カフカ 変身


 グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目を覚ますと、自分が巨大な毒虫に変身していた。という超有名作でカフカの代表作。
 グレゴールが虫に変わってしまったので、それまでグレゴールの稼ぎを頼りにしていた家族たち(父、母、妹)は自立する必要に迫られ、彼らが自立するにつれグレゴールはだんだん彼らに疎まれていく、と言う物語。
 私の持っている昭和44年発行の集英社世界文学全集の中の一冊、カフカ「審判・変身」には高橋義孝氏の訳によるものが収録されていて、おそらく新潮文庫から出ているものと同一だと思われる。

 カフカは結婚もせず親にやっかいになっていたそうで、本人もそれを恥じていて(この時代のユダヤ人社会ではとんでもない恥だったらしい)、それを自嘲的に描いたのがこの作品なのだそうだが、グレゴールは意外とあっさり自分が虫であることに納得するが、虫として安楽な生き方をするか人間性を保とうとするかで悩んだりもする。壁や天井を這いまわったりするがそれでも家を出ようとはしないところがパラサイト・シングル(死語)らしいところだ。
 結局は妹にまで疎んじられあっさり死んでしまい、両親と妹はグレゴールが死んでくれて安堵すると言う終わり方はとても残酷だがリアルである。カフカのほかの作品同様とても後味の悪い作品である。「審判」よりはましだが。
 この作品には3という数字がよく出てくる。作品自体が三章からなり、三人の間借人、三人の家族、三月の朝三時に死ぬグレゴール・・・何かの象徴が潜んでいるのだろうか?

 それにしてもグレゴールが毒虫だったら今はやりのニートなんかはいったいなんだろう。現代日本版「変身」を考えてみるのも面白いかもしれない。
.02 2006 東欧・ロシア文学 comment5 trackback2

世紀の大発見!!

 火星で活動中のオポチュニティが、驚くべき写真を送信してきた。これはエレボス・クレーターの西側で撮影されたものである。

お分かりだろうか。ここに写っているのは地球上のある種の動物のように見える。
下はこの写真をを拡大したもの。

カリフォルニア工科大学のカーク・マッコイ教授(宇宙生物学)は、この動物はおそらく哺乳動物で、この動物の生存を支えるためには、さまざまな動植物が火星に存在している必要があり、これまでにそれらの動植物が発見されなかった事が信じられないと述べている。
この記事が4月1日に書かれたからといってエイプリル・フールだとは、決して考えないでもらいたい。
 詳細はJPLのマーズ・エクスプロレーションズ・ローバーのHPにて
.01 2006 宇宙 comment4 trackback0
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